株式会社産機
設 立 昭和38年9月25日
資本金 6,000万円
従業員 130名
取材地 愛知県名古屋市港区木場町
簡単なポンチ絵とワークの情報さえあれば、パーツフィーダのオーダーが可能。
営業、設計、製造が一体となってお客様の希望を製品化していく。
ピエゾフィーダのパイオニア
1973年から電磁式パーツフィーダの製造を行ってきたが、1985年に圧電式のピエゾフィーダの開発・製造を開始。ピエゾフィーダのパイオニアとなる。
産機がピエゾフィーダを得意とするきっかけは?
ピエゾフィーダの歴史について語る
猪股部長
当社はブレーキモータの販売会社として1963年に設立しました。1973年頃、アメリカの工場に赴いた当社の技術者が工場で使用されている電磁式パーツフィーダを日本でも製造・販売したいと考え、現地で技術を習得し、日本での製造に乗り出しました。
パーツフィーダは、金属、ゴム、プラスチックなどのワーク(部品)を入れたボウルに振動を与えることによって、そのワークを一定の姿勢で整列させ、次の工程に供給する自動部品供給装置です。ワークの整列・供給を自動化することで作業効率を高め、人為的ミスも軽減できるのがメリットです。
当社では初期に製造したパーツフィーダを自動車メーカーに納入しましたが、最初は思うように動かず、お客様と一緒に試行錯誤を重ねて精度を高めました。この「最後まで諦めずにお客様に最適な製品を提供する」という精神は現在まで引き継がれる当社の基本姿勢です。
1985年、当社のパーツフィーダに転機が訪れます。ファインセラミックス製の圧電素子の技術を持つ東芝と提携し、当社が蓄積してきたパーツフィーダ技術を応用して圧電式パーツフィーダを開発・製造。これがピエゾフィーダの始まりです。現在も市場には電磁式パーツフィーダが多く、早くからピエゾフィーダで実績を重ねてきた当社には、ピエゾフィーダのパイオニアという自負があります。
ピエゾフィーダはどのようなパーツフィーダですか?
パーツフィーダの生産体制について語る
八木部長(左)と猪股部長(右)
パーツフィーダのシステムは駆動源となる振動機、ワークを整列するボウル、整列したワークを次の工程に送るための直進フィーダ、パーツフィーダのオン╱オフや振動の強さを調整するコントローラ、ボウルに一定量のワークを補充するバルクホッパーなどで構成されます。当社ではすべて自社生産してパーツフィーダに組み上げ、お客様に提供しています。使用するワークの材質、重量、形状などの特性や、供給したい速さ、設置場所の条件などに応じてカスタマイズされたパーツフィーダが製造されます。
圧電式のピエゾフィーダには電磁式と比べて磁気を帯びない、熱を発しない、精密部品などの小さくて薄いワークの整列にも適しているなどの特長があります。また、100〜200ボルトの範囲の電圧に対応できるので、国内で製造した製品を海外の生産ラインで利用することが可能です。
お客様からの問い合わせには当社の営業担当者がワークの特性やパーツフィーダへのご要望を確認します。手作業の自動化を希望されるお客様の場合は手作業の手順を、すでにパーツフィーダを導入しているお客様の場合は現状の課題をうかがい、お客様に最適なピエゾフィーダをご提案します。
豊富な経験と実績で最適な製品を製造する
お客様の要望を反映して、ワークの整列・供給に最適な形にカスタマイズしたピエゾフィーダを一品ずつ製造。品質管理には2段階の検査を導入し、納品後の微調整にも対応している。
製造部門でのこだわりを教えてください。
製造部門でのこだわりを語る
澤田マネージャー
パーツフィーダを製造する上で一番重要なのは、振動機とツーリングボウルです。ツーリングボウルは金属板の素材を加工機で加工し、個別の仕様書に従って製作者が手づくりで仕上げます。ボウルの形状には円筒、段付、皿ボウルなどがあり、大きさも各種あるので、ワークの特性によって選定します。
当社では過去に製造したパーツフィーダの写真、動画、製作者が製作時のポイントをまとめた資料などをすべてデータ化し共有しているので、類似の実績が参考になります。形状が複雑、傷がつきやすいなど、扱いの難しいワークには製造技術者の経験やノウハウが 活かされます。場所によりレーザー加工機マシニングを用いてツーリング加工を施します。
品質管理としてボウルフィーダの段階で検査を行い、組み付け後にも最終検査を行います。
納品後に設置環境によって不具合が生じた場合は現地に出向いて微調整します。製品はすべて自社生産で、作業手順はISO9001に準ずる、独自の品質マニュアルによって管理する、日本部品供給装置工業会という業界団体の講習も定期的に受講するなど、高い品質を保つ努力も欠かせません。
アフターケアはお客様の必要に応じて行い、金属性のワークなどボウルの摩耗が早い場合は最初からツーリングボウルを2つ製作して納品することもあります。
設計はどのように進めていきますか?
設計面でのポイントを語る八木部長
基本的な流れとして営業担当が得たお客様の情報をもとに、製造担当がボウル製作内容の検討を行い、設計担当はそれらの内容を盛り込みシステム設計を行い、初期設計図をお客様にご提案します。初期設計を提案するとお客様から具体的な要望が出されるので、再度システム設計を行いご要望を反映させてお客様の合意が得られるよう進めます。
ボウル製作内容の検討およびシステム設計を行う上で、ワークの特性や整列させたい姿勢、ワークを1分間に供給させたい数、お客様が使用するワークの現物や図面、パーツフィーダを設置する場所やパーツフィーダから供給されたワークの次の工程など、必要な情報を正しく把握することで適切なシステム構想につなげるよう、営業担当より都度ご質問させていただき設計に反映します。お客様のご要望で、ワークを1つずつ分離して供給してほしい、ロボットが取りやすい向きで供給してほしいなど、個別の要望に合致するレイアウトで設計しなければなりません。図面だけではよくわからない点がある時や、初期設計とは多少異なるがより適切なレイアウトを提案したい時には、営業や製造の担当者と一緒にお客様を訪問して相談することもあります。
お客様から前例のないワークを提示されることも珍しくありません。たとえ形状は同じでも、重量や表面の質感が違えば別のワークと考えますし、形が定まりにくいワークをスピーディに供給したいなどの要望には工夫が必要です。諸条件を考慮してできるだけ早く設計図と見積書を提出できるように心がけています。
新規産業分野へのアプローチとグローバルな事業展開へ
ピエゾフィーダと電磁式パーツフィーダの両方をもつ強みを活かして、国内では医薬品や食品分野への進出を計画する一方、グローバルネットワークを活用して事業展開を目指している。
今後は市場においてどのような発展を目指していますか?
製造部門でのこだわりを語る
澤田マネージャー
当社には圧電式の「ピエゾシリーズ」と、電磁式のパーツフィーダシリーズの両方があり、それぞれ専用のコントローラも製造していますので、お客様の使用環境やワークの特性に応じて適切なシステムを提案し、選択していただけるのが強みです。当社のパーツフィーダは自動車部品、電子部品、電気部品の組み立て、加工、検査などに広く利用されていますが、今後は医薬品や食品など従来とは異なる分野にも進出したいと考えます。
すでに他社製のパーツフィーダを利用しているが製品に不満がある、価格重視で外国製を導入したがうまく動作しないといったご相談に対して、システムの一部を当社製品に置き換える解決策を提案することもあります。まずは当社製品の品質を実感し、信頼していただきたいからです。
また、当社のグローバルネットワークを活用して海外展開も充実させていきます。100〜200ボルトの電圧に対応可能な「ピエゾシリーズ」は海外でも使用できるので、カナダやイタリアの販売協力会社を通じてさらに販路を拡大していきます。
アジアでは中国の関連会社に日本人技術者を長期派遣しての技術指導、海外研修生の受け入れに加え、ベトナムでの製造・販売体制を整えつつ、ここを拠点に高品質な製品でアジア市場をリードすることを目指しています。
パーツフィーダはどのように進化していくでしょうか?
パーツフィーダ出荷前の増し締め作業
当社の主力商品である「ピエゾシリーズ」に関しては、ワークの供給速度を高めた製品、多種多様なワークに対応できる製品の研究開発を進めています。「ピエゾシリーズ」で培った強みを最大限に活用し、ピエゾフィーダのパイオニアの名に恥じない高品質な製品を世に送り出したいと考えます。
一方、電磁式パーツフィーダについても、より高性能なコントローラを開発しました。自動車部品など重量のある大型のワークへの応用範囲が広がり、システムとしてだけでなくコントローラ単体での販売も含め、積極的に取り組んでいきます。
当社はパーツフィーダで45年以上の実績がありますので、あらゆる産業分野のお客様のニーズにお応えできる自信があります。引き合いを受けてシステムを提案しても、お客様のビジネス環境によってはすぐに導入されない場合もありますが、状況が変化したときに再び相談いただけるように製品の機能や品質の向上に努め、よりよいシステム提案ができる体制を築いています。
簡単なポンチ絵があれば要望に合わせて提案へ
「パーツフィーダを注文したいが、最初にワークや生産現場の詳細な情報を提供しなくてはならないから面倒だし、難しい」と思われているお客様は少なくありません。しかし、本当にそうでしょうか?
当社では「ワークをこう入れて、このように供給してほしい」という状況がわかる簡単なポンチ絵と、ワークの材質、形状、大きさの情報をいただければ、営業担当が直接お話をうかがい、ご要望に沿ったシステム提案を行います。パーツフィーダを活用したい場面、ご希望の条件などに応じて最適なシステムにカスタマイズしていきます。 また、当社は東京、名古屋、大阪、仙台に拠点を設けていますので、お問い合わせから製品の製造、再注文やメンテナンスに至るまで、全国のお客様にスピーディな対応が可能です。お客様のためにカスタマイズしたパーツフィーダをお届けし、長いおつきあいにつなげていきます。
ポンチ絵から製品完成までの実際の流れ
ポンチ絵 設計・相談サービスフロー
ご要望・ご不明点ありましたら、相談窓口までお問い合わせください
ミスミ 相談窓口
Tel 03-6777-7545
9:00~18:00
土日・年末年始は除く
e-mailでお問い合わせ
cx_makersupport@misumi.co.jp
\ 産機からミスミのお客様へ /
「初めてパーツフィーダを導入したいが、どこに頼めば良いかわからない」「小規模な工場だが人手で行っている作業の自動化を検討したい」「現在使用中のパーツフィーダよりも高性能なシステムを探している」
そんなお客様こそ当社にご相談ください。自動車部品、電子部品などの分野で培ってきた当社の経験と実績をもとに、お客様のご要望にかなうシステムの提案書、見積書を迅速に提示します。生産性の向上、人手不足の解消などの課題解決に向けてパーツフィーダの導入を検討されているお客様からのお問い合わせをお待ちしています。お客様の事業の発展に貢献できる製品を、自信をもってお届けします。