静電気対策(ESD対策)は電子デバイスを扱う製造現場で必須となりつつあります。
静電気対策の原理
1.アース(接地)を取る
静電気対策の基本は発生した静電気を留めておかず、
アースする(大地に逃がす)ことです。帯電する可能性のある導体はすべてアース線から大地につながるようにします。
静電誘導に対しても、アースすることで電荷のバランスが保たれます。
2.電位差を作らない
アースを確保できない場合はこの方法です。
帯電する可能性のある物と静電気に弱い機器を短絡することで、二つの物質は静電気的には一つの物質になり、電位差が生じなくなります。
結果的に電荷の移動がなくなり帯電しなくなります。
3.静電容量を大きくする
アースを確保できない場合のもう一つの方法です。
静電容量の最も大きい大地(地球)とつながることができない場合、
多少の静電気が発生しても放電にまで至らない容量を確保できる場合があります。
ただし対策としては不確実であり、実際の現場での常用はおすすめできません。
4.中和する
対象物が絶縁体の場合など、1~3の対策で効果がないときには、静電気除去機(イオナイザー)を使います。
プラス・マイナスのイオンを吹き付け積極的に電荷の偏りを中和します。
静電気対策の手順と作業者向け対策品
※ 表面抵抗、点間抵抗、接地可能点への抵抗が1×1010Ωを超える場合、または材料が均質でないもの、または絶縁性部位を持つ構造である場合は必須となる。
出典:ホーザン株式会社
導電性カラーマット(机上用)
EPA内でESDSが触れる可能性のある面にはすべてESD対策が必要です。作業表面はもちろんのこと、デバイスの保管棚の表面や大型機械周辺の一時置場も対策しなければなりません。
静電気対策マット・シート
作業工具
一般的な工具のグリップ部は絶縁体ですが、EPA内で使用する工具には絶縁体がないことが求められます。ハンドル部分に導電性素材が使われている工具を選んでください。
ESDチップピンセット・マイクロニッパー
リストストラップ
リストストラップの着用は人体の静電気対策での基本です。EPA内の作業者は基本的にリストストラップの着用が必須となります。市場にはコードレスのリストストラップが存在しますが、これは電撃を防ぐ効果はありますが、デバイス保護の観点では効果がないのでご使用になれません。
リスト・フットストラップ
カラーマット(床用)
PA内の床面で作業者やデバイスを乗せたカートなどが通る場所は床面にESD対策を施します。床用のマットには補強繊維が入っており、長期の敷設でも伸びや破れが生じにくくなっています。
導電性クッションマット
リストストラップを着用できない立ち作業では人体~履物~床で接地することが認められています。この場合の床は通常の対策された床とは別系統で、より低い抵抗値で管理されている必要があります。