適用範囲
この規格は、鉄・銅・アルミニウムおよびそれらの合金素地上に防食性、耐摩耗性などの目的で施した有効面の無電解ニッケルーりんめっきについて規定する。
等級およびめっきの最小厚さ
めっきの等級は下表のとおり、めっきの最小厚さによって7等級に分ける。
単位:μm
等級 | 素地金属 | めっきの 最小厚さ |
参考 用途 |
---|---|---|---|
1級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
3 | はんだ付け |
2級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
5 | 防食、はんだ付け |
3級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
10 | 防食、耐摩耗 |
4級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
15 | 防食、耐摩耗 |
5級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
20 | 防食、耐摩耗 |
6級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
30 | 防食、耐摩耗 |
7級 | 鉄および鉄合金 銅および銅合金 アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
50 | 防食、耐摩耗 |
めっき皮膜の化学成分
単位:%
化学成分 | ||
---|---|---|
Ni | P | その他成分 |
83~98 | 2~15 | 0~2 |
めっき皮膜の硬さ
めっきの硬さは、JIS Z 2251に規定する試験方法によって測定し、ビッカース硬さ500以上、ヌープ硬さ450以上とする。
めっきの密着性
めっきの密着性は、JIS H 8504に規定する曲げ試験方法、熱衝撃試験方法、やすり試験方法によって行い、めっきのはく離または膨れがあってはならない。
なお、注文者の要求のあるものについては、下記によって熱処理を行った後、この試験を行ってもよい。
素地金属 | 時間 (h) | 温度 (℃) |
---|---|---|
鉄および鉄合金 | 1~1.5 | 210±10 |
銅および銅合金 | 190±10 | |
アルミニウムおよびアルミニウム合金(非熱処理合金) | 160±10 | |
アルミニウムおよびアルミニウム合金(熱処理合金) | 130±10 |
めっきの耐食性
めっき皮膜の耐食性は、めっき後処理を行った後、JIS H 8502に規定する中性塩水噴霧試験方法などによる試験を行い、JIS H 8502に規定するレイティングナンバで9以上でなければならない。
めっきの耐摩耗性
めっきの耐摩耗性は、JIS H 8503に規定する摩耗試験方法により試験を行い、その評価方法は受渡当事者間の協定による。
めっきのはんだぬれ性
めっきのはんだぬれ性は次による試験、またはJIS C 0050などによる試験を行い、浸せきした部分は均一にぬれており、はんだの表面は平たんでこぶがあってはならない。
- a)
- 試験片に非腐食性のフラックス(例えば、松やにをアルコールに溶かしたもの)を塗布する。
- b)
- JIS Z 3232に規定するH60A、H63Aまたはこれと同等の共晶組成のはんだ浴を250±5℃に保持し、試験片を3秒間浸せきする。
- c)
- 試験片を取り出して、余分のはんだを軽く振り切り、空冷する。
めっき後の水素ぜい(脆)性除去
鉄鋼製品などに対する水素ぜい性除去が指定されている場合、その条件は受渡当事者間の協定による。
めっきの呼び方
めっきの呼び方は、めっきの種類、素地金属およびめっきの最小厚さまたは等級の順に表す。
- 例
- :鉄鋼素地上、無電解ニッケル-りんで、ニッケル90%-りん10%、20μm(または5級)
- Elp-Fe/Ni(90)-P20