[2024/2/21公開]
Question
黒皮ワークを安定してクランプする方法はありますか?
- 黒皮面など表面が安定しないワークのクランプでずれが起きてしまう。
- 鋳肌面のクランプで浮き上がりを防止したい。
Answer
以下、3つの解決策があります。
①鬼爪の付いた口金やクランプで挟み込む
②クランプの先端部分に黒皮ワーク用のアタッチメントを取り付ける。
③スクリューを当てて浮き上がりを防止する
黒皮のワークとは
素材から加工を行う際など、黒皮状態のワークを加工することが稀に発生します。
黒皮とは金属材料の素地表面を表す言葉で、何ら加工していない状態のことを指します。
鋳造後の素材のことは鋳肌状態とも言います。
中央部が黒皮の表面状態。両サイドの加工面と比較して凸凹している。
黒皮のワークは面が荒いため、精度の出たバイスの口金など平面でのクランプでは点当たりになってしまいます。
そのため、クランプ後加工を行う際にずれや浮き上がりが生じる恐れがあります。
黒皮ワークを安定してクランプするには
①鬼爪の付いた口金やクランプで挟み込む
鬼爪を用いることで、ワークの黒皮面にもしっかりと爪が突き刺さるため、浮き上がりが回避でき、ワークに対する保持力が高まります。
②クランプの先端部分に黒皮ワーク用のアタッチメントを取り付ける。
上面からのクランプを行う場合でも、パッドやアタッチメントを取り付けることで、セレーション部分をワークに食い込ませてワークのずれを防ぐことができます。
後付けの部品を取り付けるのみなので、既存のクランプを用いて安定したクランプができます。
鋳肌面にしっかりとクランプが刺さり込むことでワーク保持が安定するだけでなく、凹凸部分がクランプに食い込むことによる治具のキズも避けることができます。
③スクリューを当てて浮き上がりを防止する。
ワーク側面からスクリューを入れることで点当たりのストッパーとし、加工中の浮き上がり防止/位置決め機能を持たせることも可能です。
鋳肌面にしっかりとクランプが刺さり込むことでワーク保持が安定するだけでなく、凹凸部分がクランプに食い込むことによる治具のキズも避けることができます。
使用事例
黒皮ワークの加工風景
黒皮ワークをバイス治具でクランプ。
側面はストッパボルト, 下面はアタッチメントで安定させている。
※解決策②、③を使用しております。
出典:株式会社ナベヤ