回転→直線変換機構の代表的な機械要素にカムがあります。カムの応用例について紹介します。
カムの優れた特徴は下記です。
- カムの軌跡を伝達される出力端で、速度・加速度・躍動などの運動特性を任意に実現できる。
- リンク機構との組合せでシンプルな構造で小型・軽量・高剛性の機構が実現できる。
- 複数の動作をオーバーラップして制御可能なため、全体のサイクルタイムを短くできる。
- 信頼性が高い
以上の特徴から、応用例では、高速端子圧入機の圧入機構や自動車エンジンの給排気弁の高速で複雑なタイミング制御(【写真1】)に採用されています。【写真1】では板カムをリンク機構で変位拡大させ、高速応答性を保証させるために、ジャンピング防止用バネがセットされています。
「からくり治具の素」としてのカムは、上記のような優れた運動制御用の機械要素というよりも、回転運動に対して、直線運動の変位を力に変えてワンタッチで治具の脱着を可能にするような段取り補助の機構要素などに多用されています。
【図1】は代表的な板カムと往復従動節による回転→直線変換機構と、ワンタッチクランプ機構の図です。