(3)フロート材による省熱対策
前回、常に開放されている液面であり、且つ、強制蒸発の効果の高い局所排気装置の設置された浴槽での熱損失防止対策の、ミスト防止剤の使用による省熱対策を紹介しましたが、今回は、液面にフロート材(浮き)を浮かべることによる省熱対策をお話します。 耐食性に優れ、処理液よりも軽いフロート材を、液面に浮かべて、液面と空気が接触するのを遮断して、水の蒸発やミストの飛散を防止する方法であります。 フロート材は、1枚で液面全面を覆うものではなくて、表面処理の作業性を考慮して、ワークの出し入れに支障のないように、安定のよい形状の小片か、球状のものが、槽液面全面に使われています。(【図1】) |
耐食性の高いポリプロピレン、ふっ素樹脂製などで、中空球状のフロート材(保温ボール)について、その使用例をご紹介いたします。
【図2】を見てください。図中左は、無処置の槽、右は球状フロート材を一層だけ並べたものです。効果は歴然としています。
具体的にどの位、省エネ効果があるかを【図3】で見てみましょう。 浴温90℃の場合、保温ボールなしでは、液面1m2・1時間当り20kwhの電力を消費するのに対し、保温ボールを1層並べた場合には、5kwhの電力消費ですみます。これは、消費電力を1/4にさせる省エネ効果です。保温ボールを2層にすれば、更に半減できます。 この方法で注意すべき点は、ボールの大きさです。ボールが小さいとワークに付着して槽外へ持ち出してしまいます。φ40〜50のものが用いられているようです。 |