ボイラーにはいろいろな種類がありますが、表面処理関係で使われているボイラーは、貫流ボイラーか水管式ボイラーの小型のものが多いようです。
ボイラーの機能を簡単にいえば、水を燃料によって加熱して蒸気をつくり、それを加熱対象に輸送して、相手を加熱するためのもので、燃料のもつ熱エネルギーを水を媒体として相手に伝える熱交換器であるといえます。
【図1】に、貫流ボイラーの原理を示しました。給水ポンプでボイラー水管に送水された水は、節炭器という排熱回収部で予熱されます。次いでボイラ燃焼室の最低温部から最高温部へと進行するうちに管内で沸騰して、水と蒸気が共存する状態になります。これは気水分離器に導かれて、水分は重力で落下して、給水ポンプに戻ります。
水分を分離した蒸気は、更に加熱されて「過熱蒸気」となり、主蒸気弁を経て加熱対象へ送られます。
貫流ボイラーは、【表1】の例に示すように缶水保有量が少ないので、非常に短時間に良質の蒸気(乾き度の高いエネルギーの多い)が得られます。
【表1】貫流ボイラーの缶水保有量・濃縮倍数の例
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従って、ボイラーの省熱対策は、燃料、ボイラー用水、ボイラー缶水(ボイラー内の水)、蒸気、排ガス、ドレンなどの管理や燃焼管理が重要です。【表1】における濃縮倍数とは、ボイラーを1時間運転した場合、缶水中の不純物がこの倍数だけ濃縮されるという意味ですから、缶水や給水の不純物(Ca、Mg、珪酸塩や塩素、酸素ガスなど)を徹底的に除去しないと、水管の詰まりや腐食が発生してしまいます。このために給水管理と缶水管理が必要で、給水はイオン交換樹脂による脱塩や脱気処理、缶水は定期的なブロー(排出)処理を行います。
燃料は見かけの単価が安いだけでなく、単位重量当りの発熱量が高いこと、燃焼の管理が容易なこと、大気汚染物質を含まないこと、ボイラーの熱効率がよいことなどを検討して決めます。