通常、建材などアルミニウム合金のアルマイト処理は、次のプロセスで行われています。
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このうち、エッチング工程では、40〜60℃に加熱したか性ソーダ溶液でアルミニウムの表面をエッチングして、自然にできた酸化皮膜や小さいキズなどを除去して、表面調整を行います。
当然、このときエッチング浴では、アルミニウムが化学溶解するのですから、アルミニウムイオンの濃度は上昇します。浴中のアルミニウム濃度の上昇は、品質上いろいろの障害を発生させますので、ある範囲に管理することが必要です。
管理限界を超えた濃厚アルカリ廃液は、小規模工場であれば中和薬品として使用できますが、大規模工場では、別途に処理してアルカリを回収して再利用し、アルミニウムは資源として売却する方法が採用されています。
(1)バイヤー法によるアルカリ回収
【図1】に本法のフローシートを示します。廃液は、晶析槽に導き、所定の温度を維持しながら、水酸化アルミニウムの種晶を添加し、長時間かけて結晶を成長させます。結晶と分離したか性ソーダの分離には、遠心分離機が使われます。ろ液はエッチング浴として再利用し、水酸化アルミニウムは、別途資源として販売されます。
(2)錯体晶析法によるアルカリ回収
【図2】にフローシートを示します。やり方は、バイヤー法と同じですが、晶析槽ではCa、Si、Mgなどアルカリ土金属の酸化物、水酸化物を加え、これらとアルミニウムとの錯体結晶を形成させ、固液分離してアルカリを回収再利用します。よく使われるアルカリ土金属はSi系で、錯体結晶は、家庭用洗剤、洗浄用や研磨剤に使われています。