めっき液は有用な金属を含有しています。水洗工程では、これらを工場外へ流出させてしまうことになります。そこで、これらの有価物質を回収するために、次のような対策がとられています。
(1)めっき液や回収液の濃縮再利用
めっき槽の隣にめっき液回収槽を設置して水洗を行えば、回収槽の濃度は徐々に高まり、やがて濃度は飽和します。この回収液を濃縮してめっき液に近い濃度にすれば、自然蒸発の少ない低温度で作業する浴でも、回収液をめっき槽に戻して使用することが可能です。めっき液を直接濃縮しても効果は同様です。濃縮回収システムの一例を【図1】に示します。
【図1】は、クロムめっき浴を直接、大気蒸発法によって、めっき液中の水分を蒸発させて濃縮し、その蒸発量に見合う量のめっき液回収液を、めっき槽に返還する方法です。このシステムでは、クロムめっきの前工程から持ち込まれた不純物や、めっき中に発生した不純物などを除去する不純物除去装置を備え、回収再利用工程におけるめっき液の精製を行っています。
また、このシステムでは、めっき製品の最終水洗において、強酸性陽イオン交換塔(K)と弱塩基性イオン交換塔(A)を備え、純水洗浄を行っていますので、めっきの仕上がりが非常に綺麗です。