機能めっきの化学的特性は、次の通りです。
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1)耐薬品性
化学薬品に対して耐食性をもつ特性です。化学工業で用いられる各種の槽類、攪拌機、バルブ、フランジ、ポンプなどには、この特性が要求され、鉛めっき、錫-鉛合金めっき、無電解ニッケルめっきなどが利用されています。電極には白金めっきが施されています。
食品加工用機械のように、有機酸に晒されるものには、錫めっきが広く使われています。
(2)汚染防止性
化学反応槽などの接液面にスケールなどが付着するのを防ぐ特性のことです。無電解ニッケルめっきにこの性質があり、耐薬品性もあることから広く利用されています。
また装飾的分野では、クロムめっきが、細菌などの増殖を防ぐ性質、汚れにくい性質があるので、冷蔵庫の取っ手やハンドルなどに用いられています。
(3)抗菌性
プラスチックや天然繊維など有機質表面に比較して、金属の表面では細菌の繁殖が極めて遅くなるか、死滅することが知られています。この性質を利用して、ナイフやフォークなど洋食器に銀めっきを施したり、銅めっきを繊維上に施して靴下に編み込み、白癬菌を死滅させ、水虫を予防することなどが有名です。 |
(4)耐刷性
鮮明な印刷を上で欠かすことのできない特性です。印刷用のシリンダーやローラーには必ずこの特性が要求されます。
オフセットやグラビア印刷の刷版用シリンダーやローラーに工業用クロムめっきを施すと、鮮明な印刷ができるだけでなく、寿命の延長、インキによる腐食の防止、インキ除去の容易さ、インキかきとりの際の磨耗の防止、刷版再生時にはクロムめっき層のはくり・再めっきだけでよいなど、多くの利点があります。