パンチにかかる加工力は、パンチの背面にも同等に発生しています。その力はパンチホルダー等の面で受けています。
小さい断面のパンチでは、【図1】に示すように、ホルダー面で受けきれずにめり込んでしまうことがあります。
パンチホルダー材質がS50Cのような熱処理をしないで使われるものでは、パンチ背面の平均面圧(加工力がパンチつば部の面積に平均に分散され、力を受けると考えたときの単位面積当たりの荷重)が、目安として16kgf/mm2以上になると、パンチがパンチホルダーにめり込む可能性が高くなります。
平均面圧が、この数字に近いかオーバーしているときには、【図2】に示すように熱処理(56HRC程度)されたプレートをパンチ背面に入れるようにします。
このプレートをバッキングプレートと呼びます。バックアッププレート(この呼びが正しいかも)、バックプレート、バッキン等と呼ばれることもあります。
パンチを例にバッキングプレートを説明しましたが、ダイやストリッパで入れ子式の構造としたとき、断面の小さな入れ子部品ができことがよくあります。パンチのバッキングプレート同様に、バッキングプレートを用いた方が安全です。
バッキングプレートの一般的な使い方は、他のプレートと同じ大きさで入れることが普通ですが、大きな金型や細いパンチの数が少ないときに、全面にプレートを入れるのはもったいないことがあります。そのようなときには【図3】に示すように、必要な部分にだけ入れるようにすることもあります。
このとき、ポケット穴にバッキングの小板を入れますが、凹凸に注意し同一面とすること、及び薄いプレートでは割れてしまうことがあるので、厚めの設計とすることがよいです。
本来の目的とは少し異なりますが、バッキングプレートの厚さで金型の高さを調節することもあります。