「技能」と「技術」は解かったようでいて、ニュアンスで言葉を使う場合が多く有ります。しかし、ハイクラスな自動機設計者には技能を技術化させ、ハードウェアとソフトウェアを駆使して自動化手段を完成させる能力が求められます。
「技能」とは=体験などにより個人の感覚として蓄積される能力で、言葉や文章では表現が難しい。
「技術」とは=科学的な裏付けを持ち再現性を有する手段で、文章等で第三者に伝えることができる。
・熟練技能者は5感(視覚、触覚、聴覚、臭覚、味覚)を高度に働かせながら作業の適不適を判断して処理します。例えば半田付けの処理状況から半田こての温度、当て方や時間などを視覚と触覚で判断しています。したがって、半田付け作業を第三者に教えることが難しくなります。
・一方、生産技術者は、半田処理作業を工学的に考えて「制御すべき項目:制御パラメータ」を洗い出し、それらの制御条件の範囲を設定しなければなりません。
・この作業が「技能の技術化」であり、LCA(ローコストオートメーション)化に必要となる生産技術者の仕事です。
・したがって、LCAそのものが技能を技術化させるツールと考えることができます。
・技能を技術化することで、生産ラインの各生産工程の処理項目の設定とその条件の数値化が可能となり、その結果として作業基準書などの規格が出来上がります。
・自動機設計者の技術は自動機設計図面と仕様書となって、第三者に伝えることが可能となります。
・生産技術者は製作された自動機を用いて、最適な生産手段として自動機が稼働する条件を選択し、工程設計を行うことで技術が第三者に伝えられます。