アネスト岩田株式会社
創 業 1926年
資本金 33億5,435万円
従業員 1,624名(グループ総数)※2018年3月時点
取材地 アネスト岩田本社・福島工場
世界初を生み出す開発技術力
世界初の製品開発にこだわり、オイルフリースクロールコンプレッサ、オイルフリースクロール真空ポンプなど、独自の開発技術によって生み出された製品が数多くある。
アネスト岩田には世界初の製品が多いですね。
「お客様の要望を製品開発につなげます」
と語る石川様
当社の創業は1926年で、2019年度には創業93周年を迎えます。創業当時から市場にない製品の開発にこだわり、創業の翌年に国産第1号のスプレーガンの製造・販売を開始、その次の年には小形コンプレッサの製造・販売を実現しています。1969年には国内初の空冷二段・中形コンプレッサを発売しました。
主力製品であるオイルフリースクロールコンプレッサは、1991年に世界で初めて開発に成功しました。「オイルを使わない製品がほしい」というお客様の声にいち早く着目し、製品開発につなげることで市場を拡大してきました。ほかにもオイルフリースクロール真空ポンプ、オイルフリーブースタコンプレッサなど、当社が世界に先駆けて生み出した製品は多数あり、つねに業界をリードしてきたという自負があります。
その経験と開発技術力をもとに、お客様に満足していただける製品、品質・性能ともに優れた製品の開発に力を注いでいます。
主力製品の特長と開発技術について教えてください。
オイルフリーの技術についての
説明をされる上條様
主力製品は圧縮空気を作り出すコンプレッサ、その技術を応用した真空ポンプです。
コンプレッサはレシプロ式、スクロール式、スクリュー式、クロー式を生産しています。その違いは空気の圧縮方法で、たとえばレシプロ式はシリンダー内のピストンの往復により空気を圧縮します。この構造は高圧空気を得るのに適した圧縮方法です。一方、スクロール式は旋回スクロールが旋回するにしたがい、固定スクロールと旋回スクロールの間の容積が徐々に小さくなることにより空気を圧縮します。そのため低振動、低騒音、省エネという利点があります。
また、潤滑油を使うオイル式と潤滑油を使わないオイルフリー式があり、オイルフリー式は、部品そのものに自己潤滑性をもった材質を使用し、空気を圧縮するスペース内で油を使わないため、そこから吐出される圧縮空気もクリーンなものが得られます。きれいな圧縮空気を必要とする食品や医療関連、半導体などの分野での利用に適しています。また、オイルフリーなので日常の点検作業も軽減され、ライフサイクルコストも抑えられます。その中でも、オイルフリースクロールコンプレッサ(Fシリーズ)は、市場において高く評価され、2017年に省エネルギー機器表彰を受賞しています。
真空ポンプの技術についての
説明をされる土屋様
真空機器の主力製品はオイルフリースクロール真空ポンプで、オイルフリースクロールコンプレッサの技術を応用して開発したものです。ポンプ内部のガス通路に油を使用せず、吐出口を大気に接続したまま排気できる機械式ポンプで、各種分析装置、加速器、放射光施設などで求められる真空レベルに適した製品をシリーズ化しています。オイルフリーなので作業環境は清潔で、真空の質も優れていますし、低振動、低騒音、省エネという利点もあります。
製品開発については、まず市場の動向やお客様の要望などの情報をもとに開発部内でアイデアをまとめます。製品設計の初期段階からさまざまな部署の人間が集まってデザインレビュー(DR、設計審査)を行います。試作段階ごとにDRで性能や生産性をチェックし、過去の問題点や課題がクリアされているかを確認し、意見交換します。このプロセスを4〜5回経たものが製品化されます。
高い生産性と迅速なカスタマーサービス
製品開発の段階でのデザインレビュー、工場での生産革新により、品質の高い製品を効率的に生産。また全国にカスタマー対応拠点があるため、製品提案だけでなく、トラブル対応も迅速に行っている。
高品質な製品を効率よく生産する秘訣は何ですか?
F1プロジェクトについて語る 穂積様
生産性向上については、2016年頃から福島工場で生産革新を推進してきました。現場でF1(※)というプロジェクトを立ち上げ、IEの手法を導入して生産ラインの動画を撮影・分析し、無駄をなくし価値を引き出す改善を図りました。その結果、生産性を向上させるとともに、戦略製品は混流の生産ラインで効率的につくれるようになりました。作業者のストレスも軽減し、作業効率がよくなった分、考える時間が増える方向に進化してきたと思います。
自動化も進んでおり加工は全自動・24時間体制です。コンプレッサのコアとなる部分は社内の自動化生産で品質を安定させています。
同様に部品メーカーから購入する部品の品質も重視しています。
購買グループが4M(人、機械、材料、方法)変更管理に携わり、一定品質の部品を安定供給してもらえるよう部品メーカーと協力して熟練した職人の退職、機械の老朽化などの課題に取り組みます。また、おもな取引先50社+当社で「51社会」と称して年1回、次年度の事業計画や事業方針を共有しています。
※F1プロジェクトとは
戦略製品に特化した生産性の高い生産ラインを構築するためのプロジェクト。IE手法に基づく分析の結果、製品と部品を同一ラインに流して部品を取りに行く時間を省く、製品の高さや工具を工夫して製品サイズにかかわらず一人が担当する作業内容を統一するなどの改善を図り、生産性を30〜40%高めた。現在は製品ごとにF1〜F3の3ラインの生産方式が確立し、F4ラインの試作段階である。F1とは「福島工場をナンバーワンにする」という現場の想いを込めたネーミング。
購買グループの取り組みについて語る澤野様
アフターサービスの体制はどうなっていますか?
カスタマー対応について語る
石川様
全国に販売・保守・サービスを行うカスタマー対応拠点が120カ所以上あり、お客様のご要望に迅速に対応しています。引き合いがあれば担当者が訪問してお話を伺います。今お使いのコンプレッサを入れ替えたい、工場の電気代を節約したいなど、具体的な要望を聞き、実際の工場の様子も見て、お客様に最適なコンプレッサを提案します。カスタマイズ製品を作ることも可能です。
また工場内の配管や設備などの使用環境を踏まえた製品の選択、トータルな省エネ提案も行います。単にモノを売るのではなく、工場全体のソリューションを提案することが当社の仕事と考えます。
お客様満足度向上についてはいかがですか?
お客様満足度向上について語る
三本杉様
コンプレッサの故障やトラブルが発生した場合は、すぐに当社のライセンスを有するサービス担当者が対応します。寒冷地では寒さによる凍結、夏は熱によるトラブルなど、地域の特性や使用状況に応じたアドバイスやアフターサービスを提供しています。
サービス担当者は年1回、地域ごとの協議会で情報交換を行うとともに、定期的な講習会を実施して製品知識や提案力のレベルアップを図っています。
サービス担当者へのヒアリングを通じてお客様満足を高めることも大切です。たとえば「取扱説明書がわかりにくい」という声があれば、お客様目線で取扱説明書の内容を改善します。
世界共通の開発力・生産性・サービスで地域に適した製品を
真のグローバルワン・エクセレントメーカを目指し、製品開発や生産性、サービスは日本で築いた方法論を世界で展開しながら、ローカルに適合する製品で進化していく。
グローバル企業の近未来を教えてください。
本社には、今までの足跡が飾られている
(ヒストリーラウンジ)
当社は「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」を目指しています。現在、世界20カ国以上に関連会社がありますが、年1回、各地の担当者が本社に集まり、会議を行います。ここで世界中の最新情報を共有するとともに、当社の今後の方向性を話し合い、グループが一丸となってお客様満足の最大化に努めています。
品質面でも品質ポリシーをグローバルに統一し、DRなど日本国内での製品の開発や品質に関わる基本ルールを世界共通化させる取り組みを進めています。生産現場では福島工場で確立した生産性向上の方法論のエッセンスを海外の工場にも展開し、各工場の生産性をさらに高める予定です。
一方で地域密着の視点も重視しています。現地スタッフは日本国内と同様の教育研修を受け、製品提案方法を学んだうえで、その地域の特性にふさわしい製品の開発や提案を実践していきます。世界共通の開発スタイルと生産性によって、その国や地域に適合する高品質・高性能の製品をつくり、お客様に満足していただきたいと考えます。
革新的な技術を生み出す企業風土から生まれる新規性に満ちたオンリーワン製品で、市場ごとにナンバーワンを目指し、100年企業へと進んでいきます。
\ アネスト岩田からミスミのお客様へ /
当社ではオイル式コンプレッサを入れ替えたいというお客様のご要望を踏まえて、オイルフリーコンプレッサの提案を行うことが増えています。また工場全体の省エネをご検討のお客様に、必要な部分に小型コンプレッサを分散設置する方法を提案することもあります。90余年の歴史の中で培われた開発技術や製造力、サービスで、お客様に満足していただくことを目指しています。
全国に広がる各拠点で、製品提案からアフターサービスまで迅速に対応することが可能です。コンプレッサに関することなら何でもお気軽にご相談ください。