株式会社イマオコーポレーション
設 立 1935年10月
資本金 9,000万円
従業員 270名
取材地 美濃第2工場
事業領域を拡大し続ける理由とは
鋳物屋として創業の後、機械部品・治具部品をメインにお客様のニーズに合わせたものづくりへとシフト。
貴社がここまで事業領域を拡大された経緯を教えてください。
事業のなりたちを語る渡部営業部長
弊社は1935年、鋳物屋として創業し、設立当初は革靴などの底金(靴底の摩耗を防ぐ金具)を製造販売していましたが、61年に今尾製作所として株式会社化、鋳物のガスコンロを取り扱うようになりました。 その後、67年には日本で初めてハンドル車をはじめとする標準化された機械部品の製造・販売を始めました(当時、機械部品は、お客様自身で製作されることが一般的でした)。74年海外メーカーと提携、機械部品の輸入販売を開始、クランプレバーやプランジャーなどの製品を追加いたしました。 これら製品は現在定番品となっています。
83年には、標準システム治具(組み立て式加工用治具)の製造販売を開始しました。 当時、治具は、“お客様が自ら加工物に合わせて作る”のが一般的でした。
弊社が治具部品を標準化、在庫を持って販売することは新しい試みでありました。 86年、まだ日本では製図板が利用されていたころに、創業者がアメリカからAutoCADを購入、社内へ導入するとともに、AutoCADの販売も始めたのです。さらに、同年、日本国内では初めてであるアルミ構造材の取り扱いもスタートいたしました。その後2004年から「ワンタッチクランプ」の製造販売を開始。2012年にはボルトに替わる締結部品として「ワンタッチ着脱」の製造販売を始めました。このように弊社では、お客様のニーズに合わせたモノづくりへとシフトしてきました。こうして、我々の事業領域は拡大していったのです。
とても幅広い事業領域でシェアを拡大されていますが、領域を広げようと思い立った理由をお聞かせください。
製品が核ではなく、お客様のニーズから製品開発を行っています。たとえば、機械部品を扱うメーカーがCADを販売するという発想は、出てきません。治具製品もそうですが、お客様の「あったらいいな」を叶えたいという強い意志が、弊社に脈々と流れる創業者のDNAだと思います。
こうしたお客様のニーズを捉えて製品開発することによって事業領域を広げてきた結果、それぞれのジャンルにおけるパイオニアであり続け、今日につながってきているのではないかと考えています。 トップからは「常にチャレンジしなさい」と言われ、「現状のままでは進歩がない。失敗を恐れず新しいことにトライしなさい。」という環境を整えてもらっています。こうした環境で仕事ができるのは、社員として幸せだと感じています。
特に中心となる事業領域と今おすすめの商品をお聞かせください。
ワンタッチ着脱 サムターンクランパー
弊社の事業領域の中では、標準機械部品と標準治具が一番大きな柱ということになります。一見すると、この2つの事業領域はかぶっていないように見えるのですが、最近ではボーダーレスになってきており、お客様が重なることが増えてきています。
おすすめ商品というと、まずは「ワンタッチ着脱」です。 これは営業がリーダーとなって開発しました。2012年の販売開始以降、お客様から高い評価をいただき、お陰様で販売も毎年右肩上がりで来ております。 昨年から、海外への販路も広げるべく準備を進めています。 海外の商品紹介Webサイトにも積極的に展開をしており、徐々にではありますが、海外からの注文も増えています。
ワンタッチ着脱に関連して、長穴やスライド部分をワンタッチで固定できる「ワンタッチスライドロック」という商品があります。 これも営業がリーダーとなって開発したので、ぜひおすすめしたい商品です。 弊社のおすすめ商品は機械部品だけではありません。治具部品についても、ぜひおすすめしたい商品がございます。「フォームクランプ」は、ベースが共通で利用でき、上のパーツ(口金)を変えることで外から中へ、逆に中から外へ物を押さえることができるクランプです。異形物のクランプに最適です。 もうひとつは「プルフィックス」という引き込みクランプです。”シリンダー形状で干渉が少ない”という点でお客様から好評をいただいています。工程集約を実現する加工治具としてご利用ください。
こだわり続ける「イマオのものづくり」
本社のある刃物の町・関市の伝統が息づくなか、ユーザーの「あったらいいな」に応え、技術の蓄積を活用して新しい価値を生み出す。営業がプロジェクトリーダーとなって製品開発を行う。
「ワンタッチ着脱」は2012年から製造販売を開始していますが、製造レベルにおいての”こだわり”などがあればお聞かせください。
製造のこだわりを語る山下部長
もともとワンタッチ着脱という製品はロストワックス製法(ワックスを失うという意味で、ワックス=ロウを削って原型を製作し、その原型を鋳砂などで固め、ロウを溶かして空洞を作って鋳型の空洞に金属を流し込んで成形する製法)からスタートしましたが、お客様に製品を安定供給するという点において、ロストワックス製法では少し難しくなってきました。
このため、ワンタッチ着脱の生産を機械加工に置き換えてきました。なぜなら、機械加工は製品の納期を短縮できるからなんです。ただ、機械加工ではなかなか製品の形をロストワックス製法と同じ形にするのが難しいというデメリットがあり、正直なところ立ち上げまではとても苦労しました。それでも、お客様に早く製品をお届けして、納期面でご迷惑をおかけしてはならないというこだわりを優先するために、機械加工に置き換えました。
また、弊社には工場に技術、調達、製造という部門があり、定期的に改善や 内製化などの打ち合わせを行っています。常に新しい製品が技術部門から出ますので、連携していかないと製造だけではモノが作れないため、コミュニケーションを大事にしています。
弊社の本社がある岐阜県関市は古くから刃物の町として全国的に有名です。今も市内には金属加工の工場がたくさんあります。弊社にも脈々と受け継がれてきた伝統が息づいているのかもしれませんね。こうした「ものづくりのこだわり」は、弊社ロゴの上に記されている「Value Creator」にもあるように、常に新しい価値を創造して産業界の発展に貢献したいという考えにも表れています。
開発当初「ワンタッチ着脱」を設計するにあたり、心がけた事はなんでしょうか?
設計時のこだわりを語る長瀬主査
もともとワンタッチ着脱が開発されるきっかけは、お客様から「簡単に着脱できる製品はないか」という声をもらって、試作品を作ったことから始まりました。そこから派生し、さまざまなラインナップができあがったのです。 実際にご使用いただいたお客様の声から、ワンタッチ着脱という製品が広がりました。
ワンタッチ着脱は、一貫してコンセプトである「簡単・確実」にこだわって製品を作りました。設計を始めたときにボルトに替わる締結部品を作ろうとスタートしたのですが、ボルトで固定してある段取り替えの箇所は、それほどクランプ力を必要としていない所が意外と多いんです。特に着脱の頻度が多い箇所では、スピードと操作の確実性が求められます。ワンタッチで簡単に着脱ができるために心がけたのは、クリック感やON-OFFをつけて簡単で確実に安心して使ってもらえるようにすることでした。
ワンタッチで物を着脱する製品の設計自体は簡単なのですが、軽い力で操作できて、そのわりにはしっかりと留まるという製品を考え出すのは非常に苦労しました。これは弊社が今まで積み重ねてきた技術を活用することで、製品化にこぎつけることができました。
ワンタッチ着脱は、お客様によって使い方が自由すぎるんです。実際に私たちが伝えたいのはワンタッチで簡単確実に着脱できることなんですが、お客様は私たちの思いもよらない使い方をしていることがあります。納品先の社名や部署名から、ワンタッチ着脱が海底や地底、ひょっとして宇宙旅行を? などと考えたりもします(笑)。実際に使っていただいているお客様の「こんなふうにしたほうが使いやすいよ」とか、「もう少し取り付けスペースは小さいほうがいい」という声をお聞きして、それに基づいて改良したり、進化させることで製品をシリーズ化していくというこだわりがあります。
イマオコーポレーションのさらなる進化
標準機械部品、標準治具が核の豊富な製品群を進化、工場用の省人化・省力化機器の開発を進める。誰でもわかりやすく使いやすい「人にやさしい」製品を提供していく。
今後「ワンタッチ着脱」をどのように進化させていきたいですか?
製造中のサムターンクランパー
やはり弊社の強みは「ものづくり」になりますので、部品の共通化や加工の簡素化などを行い、スピーディーな製品の生産ができればと考えています。また、最近はロボット化が目まぐるしく進んでいますので、ワンタッチ着脱に限らず弊社 でも少なからず対応していかなければいけないと思っています。
ただ、いくら自動化が進んだところで、人が関わる改善をしなければならない部分はなくなりません。むしろ、グローバル化、高齢化の中で、もっと使いやすく、 わかりやすい製品が求められるので、今以上に人にやさしい製品に進化させていきたいと考えています。 これからも、お客様の声をお聞きしながら、新しく面白い機構を積極的に取り入れ、イマオコーポレーションにしかない製品に進化させていきたいと思っています。
貴社は創業以来、幾度も進化を遂げられてきたかと思いますが、今後さらなる進化のビジョンなどがあればお聞かせください。
会社としての進化を語る渡部部長(左)と
村山部長(右)
実は昨年、NHKの『超絶 凄ワザ!』という番組に出させてもらったんです。新潟の企業様と「最強の洗濯バサミ対決」というテーマで対戦しました。 これによって地元・岐阜を中心に弊社を知ってもらうことができ、若い方に中小企業だけど変わった、面白い技術を持っている会社ということを理解してもらえたんです。
また、弊社美濃工場では、小グループによる生産性の向上、品質の向上を目的に継続した改善活動を行っています。2011年から始まった活動ですが、少人数による活動を通じていろいろな意見を言い合える環境を整えてきました。毎月1回、発表会を行っています。この活動を通じて全員の意識改革ができ、それが成長につながり、責任感を持って業務にあたるという進化が起こりました。 今後は、機械部品と治具、クランプを中心とする工場用の省人化・省力化機器の製品開発を行っていきたいというビジョンがあるので、ご期待ください!
\ イマオコーポレーションからミスミVONAのお客様へ /
ミスミVONAさんでは、弊社製品の在庫を幅広くお持ちいただいています。在庫品番であれば、18:00までのご注文で当日出荷が可能です。ぜひご利用いただければと思います。
特にワンタッチ着脱は、弊社がお客様の「あったらいいな」を形にした自信を持っておすすめできる製品なので、ぜひご活用いただければと思います。ワンタッチ着脱特集ページへ。