「ローコストオートメーション(LCA)とは」では、フォーディズムに対応したメカニカルLCA(ローコストオートメーション)を治具の時代と単純化して解説しました。ここで、技術は連続的に進展するために、デジタル的に区分して表現することは好ましくありませんが、解かり易くするために、第3段階の生産システム:トヨタ生産方式の時代をメカトロニクスの時代と要約しました。
このトヨタ生産方式の時代以降、現在にいたるまでの期間と、それ以前のLCAの時代の最大の違いは、コンピュータの普及と利用です。
LCA-第3世代
「メカニカルカム・リンク機構」が持つ一定のルールによるモーションコントロールの機能を、位置や時間の情報と動力のコントロールとに分割し、メカニカルカムによる「硬い情報」をコンピュータソフトによる「柔らかい情報」に、動力のコントロールをサーボコントロールにそれぞれ置き換えて、多品種少量生産に必要とされるフレキシビリティ性を追求した「インフォメーション・カム」の世代です。
この時期には制御機器と方式が、リレーシーケンス制御→プログラマブルコントローラを用いたシーケンス制御→マイコン(pc)制御(【図1】参照)とめまぐるしく進歩したことから、特に電気電子回路技術者の技術対応能力が激しく求められた時代です。
LCA-第4世代
ローコストオートメーションLCAの基本的な機構要素は、LCA-第3世代でおおよそ出揃ったと言えます。同一品種で、ワークや関連するツールの状態が一定であれば高速度で巧妙なモーションコントロールは実現可能です。
しかし第3世代以降は、製品のライフサイクルの短命化やグローバル化への対応が、生産システムとその生産手段に要求される時代へと移行します。製品の短いライフサイクルは、そこで使用される部品の仕上がりが不十分になりがちであり、品質ばらつきの大きな部品を用いての製造が要求されます。この対応のために「人間の器用さ=熟練」が生産手段に求めら、熟練者の思考過程を「コンピュータアルゴリズム」で実現させることで対策が成されました(現在でも進展中です)。
この「コンピュータアルゴリズム」の世代では、センシング技術とそのセンシングデータの処理が ノウハウとして重要に成ってきます。
さらに、「コンピュータアルゴリズム」を用いる生産手段よりもフレキシビリティ性・スピード・安い設備償却の生産手段として、「簡易なハードウェアと人間系」を最適に組み合わせるセル生産方式や1人生産方式が「人間の知恵のアルゴリズム」の仕組み実現の場となり検討が続けられています。