生産の効率向上の手段であるLCA(ローコストオートメーション)は生産システムの1要素です。LCAの解説の前に、もう一度、生産システムとLCAの関連を整理します。生産システムは次のように表現できます。
生産システム=製造システム+管理システム
ここで、製造システムとは、5M(人、材料、設備、製造条件、測定)+I(情報)を用いて最大効率の生産を行うシステムといえます。LCAはこのなかの設備の項目にあたります。
管理システムとは、生産管理、品質管理、原価管理および新製品開発計画管理などです。
したがって、LCAは生産システムのサブシステムである製造システムに含まれる1要素となっています。
ローコストオートメーションLCAの流れについて
自動化のニーズが強く現れたのは、大量生産の時代(フォーディズム)からです。この時代以降、それまで利用してきた人間の動力では限界となったために別の動力に置き換える必要が生じたことと、同じく人間の巧みな動作を道具に置き換えて大量に工業製品を生産するために(簡易的な)自動化が求められました。
これから、生産システムの流れに応じたLCAの世代ごとの解説を行います。初めに第1世代の解説を通して考え方を示します。
LCA−第1世代
回転運動と直進運動による自動化・・・「ヒンジ機構」の採用
フォーディズム時代の初期に登場した代表的なLCAの機構要素です。
■例1
初期のレンズ研磨機などは、モーターでフライホイールを回転させ、そのフライホイールの半径位置の差による回転速度の差を摩擦力伝達プーリーでヒンジ機構に伝達し、揺動運動させてレンズ研磨を行っていました。
■例2
足踏み駆動式ミシン
■例3
先端加工技術における応用例:
光の波長特性を制御する光学素子として回折格子があります。これは、石英ガラスの表面にナノメートル(百万分の1mmの単位)の精度で、微細な溝形状が加工されたものです。この加工機は、精度のルールの基準となるためにルーリングエンジンと呼ばれていますが、東北大学では、この加工機の駆動メカニズムとして単純で信頼性が高い「ヒンジ機構」を用いています(【図1】参照)。
上記の例から解るように、LCAの機構要素は、旧世代のものは旧式であることを意味しません。各世代のLCA機構要素の特徴を理解し有効に活用してください。