展開計算で求めたブランク径から、何回で絞れるかを決めます。その結果が【図1】です。これは「円筒絞りの絞り回数を決める」で求めたものです。各寸法は各工程のパンチ径を示しています。
【図2】は、パンチ肩半径の決め方を示しています。ここで分かっているのは製品の底R(パンチR)のR0.3だけです(「円筒絞りのブランク展開」の製品図参照)。
この製品のRを元にして、各工程のパンチRを決めていきます。手順は最終工程から1絞り(初絞り)に向かって決めて行きます。
【図2】の拡大図を参照してください。最終絞りのパンチR(R0.3)の中心位置と同じ線状にRの中心を取って、最終絞りのひとつ前の工程のパンチRを決めます(図に「最終絞りと中心を合わせる」と示した部分です)。
次に、更にひとつ前工程のパンチRを決めます。今、決めたパンチRの中心位置から外形までの距離を3〜4等分します(図に「この間を3〜4等分する」と示した部分です。)。分割したものを利用して、「少し中心をずらして半径を決める」と示してあるように、作図します。
更に前工程があるときには第1絞りまで、この操作を繰り返します。
このようにして作られたパンチRが【図2】の左側のR0.3、R1.15及びR2.25、R4.14です。このような半端な数値ではパンチが作りにくいので、
R1.15 → R1.2
R2.25 → R2.3
R4.14 → R4.0(第1絞りのパンチR)
と補正して、パンチの加工が行いやすいようにします。
このとき、第1絞りのパンチRは、
4t < 第1絞りパンチR < 20t
の範囲にあり、かつ、第1絞りパンチ径の1/3より小さいことが必要です。
パンチRが小さいと、絞ったときに割れが発生します。大きいとしわが発生します。