家電製品を初めとして電子制御を必要とする商品には何らかの電子回路基板(【写真】)が付いています。
この電子回路基板を例に人作業と自動化と品質について解説します。
・組立産業が日本から海外に進出した時代に、日本では実装機による自動化が実現できていたにもかかわらず、海外での電子回路基板の生産方式は多くの作業者をライン状に並べて手作業で処理させた時代がありました。
・この時代は海外展開先の労務費が安いことから、“作業ミスは検査工程で省く“考えで生産ラインが造られました。
・しかし、検査工程を設けても人作業の検査のために検査漏れを完全に無くすことができず、検査品の再検査のライン構成まで実施されましたが、それでも不良をゼロとすることは出来ませんでした。
・一方、実装自動機は、(1)実装部品の検査、(2)実装位置の確認、(3)半田処理状態のチェック、(4)基板の機能検査までを処理することができるため、不良発生率はppmオーダーとすることが出来ます。
・ただし、実装自動機のメンテナンス(特に予防保全)が適切に成されていることが前提条件です。
・上記の2つの生産方式の結果から、人作業による限界のためもあり、海外展開においても徐々にローコストオートメーション化が進展しました。
・自動機の場合は、使う部品の形状や性能の不安定性を判断しながら処理することは非常に難しいです。逆にいえば、熟練した作業者の長所は自動機の欠点をうまく処理できることです。
・したがって、新製品開発の初期のモックアップ試作品などは熟練作業者の技が役に立ちますが、量産の段階では自動機の出番です。
・高密度実装部品になってくると、初期の試作品ですら人作業が難しくなります。半自動化など、処理スピードを優先させないローコストオートメーションが必要となります。