LCA(ローコストオートメーション)に使用する構造材料のほとんどは金属材料です。それも鉄系材料が主体です。構造材料を除くと、アクチュエータ(電動モータ、エアーシリンダなど)、それらの制御機器や運動伝達要素(タイミングベルト、コンベア)などには、プラスチックや複合材料などが採用されます。ここでは金属材料を概説します。
(1)金属とは
金属は一般的には次のような性質を持っています。このなかでLCA用構造材料に適した性質は項目 2. が中心です。
1. | 常温ではほとんどが固体 | |
2. | 丈夫でありながら外力により変形されやすい(加工成形しやすい) | |
3. | 外観的には光沢を持つ | |
4. | 熱や電気を伝えやすい |
(2)丈夫で変形されやすい性質とは
【図1】に、鉄とアルミ材の2種類の応力 - ひずみ曲線を示しました。
【表1】に、2種類の材料の強度(引張り強さ)と硬さ(HB)の値を示します。
【表1】鉄とアルミ材の代表的機械特性
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応力-ひずみ曲線の最大応力値を、試験片の断面積で割った値を引張り強さ(または極限強さ)とします。S45C(【写真1】)が、アルミ材(A5052)よりも2.6倍以上の材料強度を持つことがわかります。
【図1】のアルミ材の応力-ひずみ曲線は、鉄の特性のような変極点(降伏点)がなく、応力により変形が連続的に生じる性質を示しています。この様に伸びが大きな性質を延性が大きいといいます。このアルミ材の性質を利用して、引抜き加工でアルミフレームが生産できます。
アルミ材は鉄材の1/3の軽さの性質のため、軽量化材料に使用したいが、材料強度が小さいことから荷重を支える構造材料には適さない、また、硬さも劣ることから耐磨耗特性は望めません。(硬質アルマイト処理やアルミ合金の採用で、ある程度の性能確保は可能です。)