チタン(Ti)は、軽量で(比重4.507。鉄は7.8)、融点が高く(1668℃)、室温では稠密六方格子の結晶構造を持つ金属です。熱膨張係数が小さく、電気抵抗が大きい特徴を持っています。
また、耐食性が良好でステンレス鋼や金、プラチナに匹敵する耐食性を有しています。
さらに、金属疲労に強く耐久性が良好です。
着色も可能で色を付けることもできます。
このような特性から金型部品への採用も可能性があります。しかし、機械工作が困難であるため特殊な工作機械や工具が必要になります。
チタンは、アルミニウム(Al)、すず(Sn)、ジルコニウム(Zr)等と合金として使用することも可能です。
チタン-ニッケル合金(Ti-Ni)は、原子比が1:1付近で組成されると形状記憶合金となり、金型部品としてもユニークな特徴を生かすことができるかもしれません。眼鏡フレームやゴルフクラブ、各種金属部品としては既に様々な分野で利用されています。
チタン合金は、特に航空機分野では軽量で高強度、耐熱性も良好なため、ジェットエンジン部品や航空機部品に多用されています。
また、医療器具や人工臓器の部品としても利用されています。
熱交換器の部品にも採用されています。
具体的な金型部品として採用された事例は、コストも高いため限定的ですが、上記のような特長がありますので、新しい樹脂に対応する金型部品としての素材としては可能性を秘めていると思われます。
金型用金属材料としては、炭素鋼が多用されてきましたが、これからの新しい樹脂に対応するには、耐食性、耐酸性、着色性、高温強度、疲労強度などの優れた特長があることで従来の金型部品では実現できなかったことに対応ができるかもしれません。
金型設計技術者は、金属材料の新素材についての知識も幅広く収集をしておくことがこれからは重要だと思います。