超硬ボールエンドミル(一般鋼・調質鋼)
- [2023/3/16公開] Question ボールエンドミル加工のピックフィードの目安とは? CAMでツールパスデータを作製していますが、中粗加工と仕上げ加工のピックフィードを設定する目安はありますか? Answer ピックフィードはカスプハイト(理論加工面粗さ)を目安に設定します ピックフィードとカスプハイト(理論加工面粗さ)の関係 ピックフィードは大きくすると、加工面粗さが大きくなり仕上げ研磨工程の工数が多くなります。また必要以上にピックフィードを小さくすると、切削加工工程の工数が多くなります。適したピックフィードの選定は、中粗加工と仕上げ加工それぞれの面粗さを設定してから、ピックフィードを決めます。 ボールエンドミルのカスプハイト(理論加工面粗さ)の算出
- Question 調質鋼の加工精度を向上させるポイントは? [被削材例] NAK55、NAK80、HPM7、HPM38、STAVAX ESR、PX5 Answer 調質鋼の特性 調質鋼は熱処理を施した鋼材で、主に金型部品に用いられます。調質鋼の硬度は、HRC35~45程度であり、高硬度鋼の中では比較的に切削特性が高い鋼材です。 そのため、金型材として多く適用されており、金型部品の切削加工ではポピュラーな材料として知られています。
- Question V溝カッターでの加工で、刃が欠けて困っている V溝カッターで加工をするとき、回転数を下げて加工してもすぐに先端が欠けて困っています。 Answer V溝カッターでは、実切削径で回転数を決定するのがポイントです 工具径で回転数を決定すると適正な切削速度より遅くなり、工具に無理な力がかかります。 実切削径で回転数を決定することで、そのような状態を回避します。 図1 V溝カッターの実切削径と回転数のポイントと計算方法
- Question 突き出しが大きな場合の切削条件は? カタログに記載されている切削条件表はどの位の突き出しで使用することが前提になっているのでしょうか? また、突き出しを長くする場合には切削条件をどのように変更すればよいでしょうか? Answer 標準突き出し量 カタログに記載されている切削条件は、工具径の3倍程度(最高でも5倍程度)までの突き出し量を前提で適用することをお勧めします。(ロングシャンクなど突き出しを長く使用することを前提とした商品は除きます) 工具の剛性を保つためには突き出しをできるだけ短くして使用することが重要です。 突き出しが長い場合の切削条件 干渉防止などで突き出しを長くしなければならない場合にはビビリが発生しやすくなるため、フレを最小限に抑え、保持剛性の高い焼ばめホルダが有効です。 その上で標準切削条件に対して軸方向切り込み量を10~50%ほど少なくしてください。 それでもビビリが止まらない場合には回転数と送り速度を突き出し量に応じて10~40%ほど少なくしてください。
- Question エンドミルのヘリカル加工やトロコイド加工とは? エンドミル加工で、ヘリカル加工とかトロコイド加工などを目にしますが、どういった加工なのでしょうか? Answer エンドミルのヘリカル加工やトロコイド加工とは エンドミルで形状加工する時の、エンドミルの動き方(ツールパス)の1種類のことです。 同じ形状を加工するときでもエンドミルを動かす様々な方法があり、加工法によって加工時間や工具の寿命が異なる場合があります。 ヘリカル加工やトロコイド加工を含め、代表的な5つのエンドミルの加工方法をご紹介致します。
- Question 5軸制御のマシニングセンタを有効活用する為の工具選定方法と使用する上でのポイントを教えてください。 Answer 5軸制御マシニングセンタのメリット・デメリット 5軸制御マシニングセンタでは、3軸の加工では難しい形状、段取り替えを必要とする加工などを、高効率、かつ同一の段取りで切削加工が可能になります。その結果、工程の簡素化、治工具の省略、高精度化などの効果が期待できます。反面、NCプログラミングが複雑になったり、加工形状によっては工具の突き出しが大きくなるなどのデメリットが考えられ、これらの対応が必要になります。
- Question 浅切り込み、高送りを前提とした高速ミーリングのメリットを最大限発揮させるためにどのようなエンドミルを選定すればよいか教えてください。 Answer 短刃長・高精度エンドミルの使用 高速ミーリングでは、工具を高速回転で用いるので、できる限り短い刃長・R精度や振れ精度が高水準の工具をご使用ください。 焼ばめホルダと専用エンドミルの使用 高速ミーリングでは、保持剛性に優れている焼ばめホルダの使用が増えております。 焼ばめホルダ用エンドミルを使用し、工具・保持具の両面で最も適した製品を選定することが有効です。
- Question 深彫り加工時のビビリを抑制するには? 金型の深彫り加工時にビビリが発生して、エンドミルが折損したり、加工面がきれいに仕上がらなかったりして困っています。ビビリ抑制のために何か良い方法はありませんか? Answer ビビリ発生の原因 エンドミル切削時のビビリは、工具の剛性以上に過度の負荷がかかることで発生します。ワークとの干渉を避けるために突き出し量が比較的に長くなる深彫り加工は、工具剛性を確保することが難しく、ビビリが発生しやすい切削です。 工具にかかる負荷を低減 工具にかかる負荷を低減するために、切り込み量を小さくすること、切削速度を上げて刃先の切削特性を向上させることが有効です。特に、切削速度が上がりにくく刃先の性能が発揮されにくい小径のエンドミルの場合、回転数不足が負荷を増大させる原因になることがあります。