ボールねじ
- ベアリングは用途に応じて予圧する必要がある。予圧の目的を解説すると共に、予圧方法まで解説する。 ベアリングを予圧する目的 ベアリングの予圧の方法 ベアリングを予圧する目的 ベアリングは適当な内部すきまを持って使用される。また用途によっては取り付け時にあらかじめラジアル荷重などを加えて用いる場合がある。このような使い方を予圧とよび、アンギュラ玉軸受などに適用されることが多い。 その使用事例を図1に表す。 図1.使用事例
- 10. 駆動トルク ボールねじの摩擦特性と駆動モータの選定 10-1. 摩擦と効率 ボールねじの効率ηは摩擦係数をμ、ねじのリード角をβとすると次式で示されます。
- 6. 寿命 ボールねじの寿命とはボール転動面、あるいはボールのいずれかに繰返し応力による疲労のため剥離現象が生じ始めるまでの総回転数、時間、距離をいいます。ボールねじの寿命は基本動定格荷重から求めることができ、次式により計算できます。
- 4. 許容軸方向荷重 許容軸方向荷重とは、ねじ軸が座屈を起こす可能性のある座屈荷重に対して安全性を確保した荷重のことです。 ねじ軸にかかる軸方向最大荷重は許容軸方向荷重以下である必要があります。 許容軸方向荷重は次式により計算することができます。 また、表1.の許容軸方向荷重線図よりねじ軸径ごとの許容軸方向荷重を簡易的に確認することも可能です。
- ボールねじは大きく「研削ボールねじ」と「転造ボールねじ」の2つに分類できます。ボールねじを構成する部品は「研削ボールねじ」と「転造ボールねじ」では大きな違いはありません。したがって、ボールねじの製造方法の主な相違点は、(1)ねじ軸の造り方、(2)ボールねじの性能に応じた性能の造りこみと検査の2つといえます。以下に概要を解説します。 (1)ねじ軸 ねじ軸の製造プロセスを単純化すると、次の流れになります。
- ここでは、超精密位置決め用ボールねじの寿命(広義の寿命)について、事例を用いて解説します。 与圧ボールねじの場合の寿命異常について 国内のモノづくりの高付加価値化指向に伴い、ボールねじの性能は超精密高剛性性能の使用頻度も増加しています。この様な製品の場合には、前回の寿命時間の算出値とは異なる、局部的な損耗等による性能劣化(位置決め性能の劣化)が寿命となってきます。 以下のデータは、与圧ボールねじの寿命に関する事例です。
- ボールねじは鋼球を用いた転がり軸受の技術に基づく製品設計のため、製品の寿命時間に関する算出式など、理論体系がしっかりしています。
- ボールねじの静音化は、ボールねじが使用される環境が過去の生産工場のみではなく、オフィスや病院、食品産業の生産ラインなど静かな環境(すなわち、騒音レベルの低い環境)で使用される場面が増えている事によります。さらに、静音化は省エネや長寿命化にも繋がる機能向上のため、必然的な性能アップのニーズです。 (1)ボールねじの静音について 転がり軸受や転がり軸受方式の直動案内のリニアガイドとボールねじの3者について、それらの構造上の違いと騒音発生状態を比較します。
- ボールねじの高速化は、電子部品の実装機やロボット、NC工作機械の重要ニーズへの対応課題の一つです。ここでは、高速化のための技術について解説します。 (1)ボールねじの高速化 ボールねじはモーターの回転を直線運動に変える機構要素のため、高速化は次の2つの手段となります。 (1)1回転に対する直線運動距離を長くする → 大リード化 (2)回転数を高くする → 高速回転化(かつ高精度化を両立) ボールねじの高速化のニーズは、高精度性能を伴う要求のため(1)と(2)を両立させる必要があります。 (2)高速回転化の課題 ボールねじの高速化には、次の難易度の高い課題があります。
- 送りねじは、回転運動を直線運動に変えたり、大きな力を発生させるために使用する機構要素です。送りねじの種類と求められる性能は、次の内容です。
- 高精度でかつ高剛性が求められるボールねじには、方向変換時のガタをゼロにする目的で「予圧ボールねじ」が選定されます。ここでは、予圧の測定法と実際の測定・管理データ等で予圧管理について解説します。 (1)予圧動トルクの測定法
- ボールねじの送り精度を向上させたり剛性を増大させる手段に、ボールねじの「予圧」があります。ボールねじのねじ溝と鋼球の間にある僅かな隙間の状態が、ボールねじの特性を大きく変えます。 ミスミのFA用メカニカル標準部品カタログでは、ボールねじ選定表の「軸方向すきま」の欄に *予圧品 *0.005mm以下 *0.010mm以下 *0.030mm以下 などの表記があります。
- ボールねじの精度は「精密ボールねじ」について、JIS B 1192で規定されています。ここではボールねじの精度と等級について解説します。 ボールねじの精度を決める主項目は「リード精度」(注記参照*)です。この「リード精度」と「外観」の2項目の評価を「ボールねじの等級」と呼んで品質の区分をします。
- ボールねじは、ナットの内部で鋼球をねじ軸のボールねじ溝に沿って循環させることで、ナットを直進運動させています。このナット内部での鋼球の循環方法により、ボールねじの運動特性が変わってきます。ここでは鋼球の循環方式について解説します。 鋼球の循環方式には、次のような方式があります。
- 標準的なボールねじは、次の部品構成で組立てられています。 この構成は、リニアガイドの構成と比較すると理解し易いでしょう。リニアガイドは単純にレール案内に沿って直進運動するユニットですが、ボールねじは、ねじ軸の回転でナットを直進運動させるユニットです。
- 物を浮かさずに移動させるときに起きる摩擦抵抗は、コロの発明で画期的に小さくなりました。砂を撒いて大きな石を引きずるよりも、コロの上に石を載せて引く方が各段に弱い力で動かすことができます。前者が直動すべり軸受で、後者が直動転がり軸受に当たります。 ボールねじは、直動転がり軸受の原理を応用し回転運動を直進運動、または、その反対に変換できる機械部品で次のような特徴を持っています。 ボールねじの特徴と利点 (1)転がり軸受同様に摩擦係数が非常に小さいです。(摩擦係数=0.002〜0.004程度)
- ボールねじの基本構造は、2007年から133年前の1874年にプレス機用の直動送り機構として米国特許が出されています(【図1】)。 実用普及は1950年代に米国製自動車のステアリング部品に採用されてからです。【図2】は、ハンドル軸の奥の部分にあるボールねじ応用機構のステアリング装置の構造例です。