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1. ボールねじの選定手順
基本的なボールねじの選定手順と必要な検討事項を以下に示します。
2. ボールねじのリード精度
ボールねじのリード精度はJIS規格による特性項目(ep、Vu、V300、V2π)で規定されます。
各特性の定義と許容値を以下に示します。
一般的には、ボールねじの代表移動量誤差が必要な位置決め精度の範囲内にあることを確認して、使用するボールねじの精度等級を選定します。





3. ボールねじの軸方向隙間
軸方向隙間は、一方向へ送る場合の位置決め精度の要因にはなりませんが、送り方向が反転する場合や軸方向荷重が反転する場合にバックラッシとなり位置決め精度に影響を与えます。
要求される位置決め精度に応じてボールねじの軸方向隙間を選定してください。


リード精度の選定例
- <使用条件>
- ・ねじ軸径 φ15 リード 20
- ・ストローク 720mm
- ・位置決め精度 ±0.05mm/720mm
- <選定内容>
- 使用条件に適合するボールねじのリード精度を求め精度等級を選定してください。
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- ①ねじ部長さの検討
- ストローク+ナット長さ+余裕量=720+62+60=842mm
- * 余裕量とはオーバーラン対策の量で通常はリードの1.5~2倍程度に設定します。
- リード20×1.5×2(両端)=60
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- ②リード精度の検討
- 表1.より、ねじ部長さ842mmに対する代表移動量誤差±epの許容値を求めます。
- C3・・・±0.021mm/800~1000mm
C5・・・±0.040mm/800~1000mm
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- ③リード精度の決定
- 使用条件の位置決め精度±0.05mm/720mmを満足するのは、C5等級(±0.040/800~1000mm)のねじが適切であることがわかります。
軸方向隙間の選定例
- <使用条件>
- ・ねじ軸径 φ15 リード 5
- ・許容可能なバックラッシ量 ±0.01mm
- <選定内容>
- 表5.より、ねじ軸径φ15では軸方向隙間が0.005mm以下であるC5等級が許容可能なバックラッシ量±0.01mmを満足できることがわかります。