4. 許容軸方向荷重
許容軸方向荷重とは、ねじ軸が座屈を起こす可能性のある座屈荷重に対して安全性を確保した荷重のことです。
ねじ軸にかかる軸方向最大荷重は許容軸方向荷重以下である必要があります。
許容軸方向荷重は次式により計算することができます。
また、表1.の許容軸方向荷重線図よりねじ軸径ごとの許容軸方向荷重を簡易的に確認することも可能です。
許容軸方向荷重の計算例
図1.の条件の時の許容軸方向荷重を求めます。
- <使用条件>
- ・ねじ軸径 φ15、 リード 5
- ・取付方法 固定-固定
- ・荷重作用点間距離ℓ1 820mm
- ・ねじ軸谷径d 12.5
- <計算内容>
- 取付方法は固定-固定なので、m=19.9 となるため、許容軸方向荷重(P)は、
- よって、軸方向最大荷重は7225N以下となるようにします。
使用条件に適合するねじ軸径の計算例
- <使用条件>
- ・荷重作用点間距離 500mm
- ・取付方法 固定-固定
- ・軸方向最大荷重 20000N
- <選定内容>
- ①表1.より、荷重作用点間距離500mmからの垂線と固定-支持目盛の許容軸方向荷重20000Nから荷重作用点間距離に対して水平な線との交点を求めます。
- ②その交点を許容範囲内とする軸径15mm以上を選定します。
5. 許容回転速度
ボールねじの回転速度は必要な送り速度とボールねじのリードによって決定され、許容回転速度以下とする必要があります。
許容回転速度は、回転軸における危険速度とナット内を循環するボールの回転速度の限界であるDmN値の2点から検討します。
5-1. 危険速度
ボールねじの回転速度がねじ軸のもつ固有振動と一致する危険速度の80%以下を許容回転速度としています。
許容回転速度は次式により計算することができます。
また、表2.の許容回転速度線図よりねじ軸径ごとの許容回転速度を簡易的に確認することも可能です。
許容回転速度の計算例
図2.の条件の時の許容回転速度を求めます。
- <使用条件>
- ・ねじ軸径 φ15、 リード 5
- ・取付方法 固定-支持
- ・荷重作用点間距離l2 790mm
- <計算内容>
- 取付方法は固定-支持なので、g=15.1となるため、許容回転速度(Nc)は、
- よって、回転速度は3024min-1以下とするようにします。
許容回転速度の計算例
- <使用条件>
- ・ねじ軸外径 20
- ・支持間距離 1500mm
- ・取付方法 固定-支持
- <計算内容>
- ①表1.より、支持間距離1500mmからの垂線とねじ軸外径φ20の線との交点を求めます。
- ②その交点の固定-支持における許容回転速度目盛の読み1076min-1が許容回転速度となります。
使用条件に適合するねじ軸径の計算例
- <使用条件>
- ・支持間距離 2000mm
- ・最高回転速度 1000min-1
- ・取付方法 固定-固定
- <計算内容>
- ①表2.より、支持間距離2000mmからの垂線と固定-固定目盛の許容回転速度1000mm-1から支持間距離に対し水平な線との交点を求める。
- ②その交点を許容範囲とする軸径25mmが最高回転速度1000min-1を満足する軸径となります。
5-2. DmN値
ナット内部の鋼球の公転速度が大きくなると、その衝撃力で循環部に損傷を与えてしまいます。その限界値がDmN値です。
次式により求められます。