フォトエッチングとは、感光性耐薬品皮膜(フォトレジスト)をマスキング剤として用いて行う化学的加工法で、フォトエッチング(photo-etching)またはフォトエングレービング(photo-engraving)といっております。
フォトエッチングは、加工物の全表面にフォトレジストの皮膜を形成し、別に作製した原版を通してフォトレジストを露光し、感光部分を現像液に不溶にし、未感光部分を現像液によって除去して、フォトレジストの所要のパターンを得る方法です。(感光部分の特性が反対になるレジストもあります。)
この方法は、化学的打抜きにも使われますが、化学的切削にも使われます。いずれの工程でも、前処理、後処理は共通です。一般的なフォトエッチングの工程を【図1】に示します。
フォトエッチングによる微細加工では、先ず原版(フォトマスクphoto-maskともいいます。)をつくることが必要です。原版の精度や品質が製品に大きな影響を与えますので、大切な工程です。原版は通常、設計図にしたがってそれを拡大した原図をつくり、それを写真工程によってフィルムまたは乾板状に原寸まで縮小して作られます。この場合、拡大原図をつくる工程をアートワーク、それ以後の原寸の原版をつくる工程をカメラワークといっております。
フォトエッチングでは、経済性と操作の便利性のために、小さな部品に対しては、原寸の多数の部品像をもった原版をつくることが行われています。このようにすることによって1枚の金属材料から、一度に、多数の部品を打抜き加工することができるからです。
フォトレジストには、負型(negative resist)と、正型(positive resist)の2種類があります。負型においては、感光した部分が現像液に不溶性になり、正型においては、感光した部分が可溶性になることです。従って、材料の表面に所要の部品のレジストのパターンをつくるためのフォトマスクとしては、負型レジストの対しては、ネガティブの像をもったフォトマスクを、正型レジストに対しては、ポジティブの像をもったフォトマスクを用いる必要があります。一般には、負型レジストが多く用いられています。
露光、現像の終わった金属材料は、エッチング工程によって化学打抜き加工をすることができます。