(3)銅と銅合金
銅は、海水や淡水に対して基本的には優れた耐食性をもっていますが、物理的特性の改善や高速の海水や淡水によって、表面の耐食皮膜が破壊されて腐食する衝撃腐食などの欠点を補うために、いろいろな合金がつくられています。
■黄銅
銅に亜鉛を加えた合金ですが、発電所の復水器などに使われています。いろいろの合金があります。
■レッドブラス
15%の亜鉛を加えた合金で、耐衝撃性はあまり強くありません。
■7-3黄銅
30%の亜鉛を加えた合金で、亜鉛が増加すると耐衝撃性は向上しますが、海水や淡水中で合金から亜鉛だけが抜けていく脱亜鉛腐食を生じる傾向があります。
■アドミラルティメタル
脱亜鉛腐食を防ぐために、1%の錫を加えたものです。このほか少量の砒素、アンチモン、りんを加えたものもあります。
■マンツメタル
亜鉛を40%加えたもので、衝撃腐食には強くなっていますが、脱亜鉛腐食は激しくなっています。
■アルミニウム黄銅
亜鉛22%、銅76%、アルミニウム2%、砒素少量
■キュプロニッケル
ニッケル10〜30%を加えたもので、海水に対する耐食性は優れています。
淡水の復水器管として用いられるものに、銅、マンツメタル、アドミラルティメタルがあります。海水用復水器管としては、アルミニウム黄銅(亜鉛22%、銅76%、アルミニウム2%に少量の砒素を加えたもの)やキュプロニッケルが用いられています。
(4)アルミニウムとアルミニウム合金
アルミニウムやその合金の利用される環境中では、純アルミニウムが最も優れた耐食性を示しますが、純アルミニウムは柔らかく強度が低いので、合金元素を加えて機械的強度を向上させています。しかし強度の高いものほど耐食性は劣ります。
アルミニウム合金には、強度を重視した高力アルミニウムと、耐食性を重視した耐食合金がありますが、耐食合金といっても、マグネシウムなど合金元素を加えることによって、耐食性があまり劣化しない意味があります。
高力合金は、銅とマグネシウムを加えたジュラルミンが有名ですが、強度は向上しますが、銅を含んでいるため、銅とアルミニウムの金属間化合物をつくり、これが粒界腐食や応力割れを生じ、腐食の原因となります。