(2)界面吸着
分子状に溶解できずに過飽和になった活性剤分子は、親油基の水から離れようとする力と、親水基の水中に留まろうとする力のバランスする自由エネルギーの最小になる位置である水と空気、水と容器との界面に集合・吸着します。
(3)ミセルの形成
吸着すべき界面の得られない残り大部分の活性剤分子は、その不安定な自由エネルギーを最小にするために、親水基を水に向けた集合体ミセルを形成して溶存します。ミセルの形状には【図1】に示すように、球状、層状、棒状、小型ミセルなどがあります。
界面活性剤は、溶液中ではこのミセルの状態が大部分でありますから、微量の分子状のものと、微量の界面吸着したものの三つの状態で存在していると考えられます。
洗浄とは、汚れた金属製品が洗浄浴中に入り、浴中に、水-製品表面、水-汚れの新しい界面が出現することによって、それまで吸着すべき界面がなくてミセルの形で溶存していた活性剤分子がミセルを解いて、新しく出現した界面に吸着して、汚れを解離・分散し、自らが汚れに吸着することです。
また、分散した疎水性の汚れが液体の場合には乳化、固体の場合には懸濁の形で吸着が行われ、汚れ粒子は安定して浴中に保持されます。
(4)表面張力低下
表面張力は、空気と水溶液間、界面張力は、汚れと水溶液間の単位面積ごとに貯えられた自由エネルギーの量と考えられますが、活性剤の量を増していくと表面量力は低下します(ある点で飽和します)。その結果、汚れの溶解、乳化、懸濁を容易にします。界面活性剤濃度と表面張力の関係を図2に示しました。
表面張力の低下は、上記の効果があるばかりでなく、ミスト発生の防止やめっき液の汲出し防止の効果などもあることは先に述べたとおりです。