概要
生産工程内での洗浄処理の原理・原則を理解した上で、生産技術的に洗浄品質を効率的に実現するかを考えるための流れを解説した。
解説
(1)洗浄の原則
クリーンルーム内での作業の原則は次の3つです。
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この表現を真似ると、洗浄の原則は次のように表現できる。
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(2)生産技術と洗浄
生産ラインの各工程では、次の工程に良品が渡せるように工程設計される。この中で、洗浄品質は、定められた外観品質を保証しなければならない。
1) 取れない汚れを付けない
・各工程では、その工程で生じる想定内の汚れに対して洗浄処理が設けられる。
・したがって、想定外の洗浄で取りきれない汚れを生じさせてはならない。
・例えば、付着物に熱、圧力や化学的反応などが追加的に作用すると、汚れは取れなくなる。
2) 汚れを除去する
・生産技術担当は、その工程で生じる可能のある想定内の汚れを除去するための手段を考案する。
・例えば、こびり付いた汚れが生じる場合はブラシ洗浄を選択する、浮遊状態の汚れのみの場合は、超音波洗浄のみとするなど
3) 除去した汚れを再付着させない
・除去した汚れが再付着すると、シミや洗浄ヤケの不良になり易いため、これを避けなければならない。
・洗浄装置のハードウェアと洗浄液選択や洗浄条件のソフトウェアと洗浄液の適正交換やフィルター交換などのメンテナンス管理を適切に選択・実行しなければならない。
それぞれの原則をLCA(ローコストオートメーション)機構で実現し安定化させるための課題として下記の(1)、(2)がある。
1)洗浄処理の目的は、工程で生じるゴミや異物を除去することだが、洗浄処理により洗浄シミが残る問題が生じることがある。
2)この洗浄シミを乾燥させてしまうと、そのシミ部分で化学反応を起こしてシミが取れなくなる場合がある。
3)洗浄シミの主な原因は、(1)洗浄条件で落とし切れない汚れがある、(2)洗浄の最終工程のリンスできれいな状態にできていない、の2つである。
(3)自動化と洗浄不良
1)洗浄シミの原因-(2)の多くは、自動洗浄器の超音波洗浄槽の洗浄液やリンス槽のリンス液が規定値よりも汚れたためにリンス(汚れた溶液をきれいな溶液に置換して乾燥させる)後に、小さな点状の汚れが残ることによる。
2)上記1)を防ぐには、洗浄するワークに残っている前工程の洗浄液を次の洗浄槽に持ち込ませないようにし、それぞれの洗浄槽で適切に洗浄品質を安定化させることが重要。
3)洗浄液は、洗浄するワークの形状やワークが洗浄される時の状態(例:重なっている、横向き、上下向きなど)などに対し、細い隙間などがあると毛細管現象でその隙間に汚れを含んだ洗浄液が残りやすくなる。
4)したがって、洗浄するワーク形状に対し洗浄液が残留しない方向の置き方で、それらを隙間を持たせて洗浄治具に保持できる洗浄治具構造とするのが好ましい。