(4)イオン交換による吸着と山元還元
クロムめっき後の水洗工程を無排水型にするためには、めっき液の強制蒸発と、最終水洗水のイオン交換処理を行って、不純物の除去を行うことが必要です。フローシートの一例を【図1】に示します。
このシステムは、基本的に次の3つの技術で構成されています。
1. | めっき液を大気蒸発や真空蒸発などで、毎時27リットル蒸発させています。 | |
2. | 毎時3リットルのくみ出しためっき液を、向流4段水洗槽で水洗し、毎時27リットルの水道水の補給ですむように節水しています。 | |
3. | 最終水洗槽の水は、陽イオン交換樹脂Kと陰イオン交換樹脂A各50リットルで、不純物除去を行っています。 |
不純物について考えてみましょう。通常、クロムめっきの前にはニッケルめっきが施されます。当然、ニッケルめっき液をクロムめっき槽に持ち込むことになります。めっき液の組成と水洗による希釈、くみ出し量から、【表1】に示す不純物の持ち込みが予測されます。一方補給される水道水も多くの不純物を含んでおります。【表1】と同じ条件で予測した持込量を、【表2】に示します。
【表1】Niめっき液のCrめっき槽への持込量
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※ | *:Niめっき後の2段水洗の最終槽濃度 **:汲出し量3ℓ/hの時のCrめっき槽への持込量 |
【表2】水道水からの不純物持込量
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このような不純物と同時に、クロム酸がイオン交換樹脂で吸着されます。
樹脂の再生作業は、各表面処理工場で行われることはなく、クロム酸メーカーが貸与したイオン交換塔を飽和時に引き取り、メーカーが再生することによって、スムーズにクロムの回収再資源化が行われています。