溶融めっきとは、高温度で溶融している金属の中に製品を浸漬して引き上げ、製品の表面に溶融金属の皮膜を形成させる表面処理法です。その皮膜形成の方法から「天ぷらめっき」として昔から親しまれてきました。原理は簡単ですが、それだけに品質の一定のものをつくるには高度の技術が要求されます。
溶融めっきには、亜鉛、アルミニウム、鉛、錫めっきや、これらの合金めっきなどがありますが、最も多量に行なわれているのが、溶融亜鉛めっきで、各種管類、板、ワイヤーロープ、金網などの鉄鋼製品に施されています。 近年、産業の形態は、重厚長大から軽薄短小へ移行し、あまり脚光を浴びませんが、送電鉄塔や巨大橋梁、船舶金具などの分野で重防食対策として、産業基盤を支えております。 |
溶融めっきは、めっきしようとする製品より低い融点の金属しかめっきすることはできませんが、比較的厚いめっき皮膜が得られますので、重度の防食性(亜鉛めっき)あるいは、高温耐酸化性(溶融アルミニウムめっき)の要求される腐食環境で多用されています。
溶融亜鉛めっきが信頼性の高い耐食性をもつ理由は、素地に達するような傷が発生しても、素地金属とめっき金属の間に局部電池が形成され、鉄よりも電気化学的に卑な亜鉛が犠牲陽極となって、鉄素地を腐食から守るからです。従ってめっきの厚さが厚い程、製品は長寿命になります。鉄より電気化学的に貴な金属である錫めっきや鉛めっきの場合には、犠牲陽極にはなりませんので、めっき金属自体の耐食性に期待することになります。