適用範囲
この規格は、電気部品などのはんだぬれ性、防食性などの向上の目的で金属素地上に行った有効面の電気すずめっきについて規定する。
めっきの等級およびめっきの最小厚さ
めっきの等級は表のとおりとし、めっきの最小厚さによって5等級に分ける。
単位:μm
等級 | めっきの 最小厚さ |
参考 |
---|---|---|
ISOのサービスコンディションナンバ | ||
1級 | 3 | - |
2級 | 5 | 1 |
3級 | 10 | 2 |
4級 | 15 | 3 |
5級 | 30 | 4 |
使用環境、使用環境条件および記号は JIS H 0404による。
使用環境 | 使用環境条件 | 記号 | 参考 | |
---|---|---|---|---|
ISOのサービス コンディションナンバ |
例 | |||
D | 通常の屋内環境 | D | 1 | 住宅、事務所など |
C | 湿度の高い屋内環境 | C | 2 | 浴室、厨房など |
B | 通常の屋外環境 | B | 3 | 田園、住宅地域など |
A | 腐食性に強い屋外環境 | A | 4 | 海浜、工業地域など |
品質
1. めっきの外観
めっきの外観は、目視によって試験を行い、めっきの有効面に、平滑で、焦げ、膨れ、こぶ、ピット、しみ、変色、素地または下地めっきの露出およびその他使用上有害な欠陥があってはならない。
なお、光沢または無光沢の選定は、受渡当事者間の協定による。
2. めっきの最小厚さ
めっきの最小厚さは、JIS H 8501に規定するいずれかの、めっき付着量試験方法によって行い、その厚さは上記表に適合しなければならない。
3. めっきの耐食性
めっきの耐食性は、JIS H 8502に規定する中性塩水噴霧試験方法または JIS C 0024に規定する方法で試験を行い、その品質は用途によって受渡当事者間の協定による。
4. めっきの密着性
めっきの密着性は、JIS H 8504に規定するいずれかの試験方法で試験を行い、めっきのはく離または膨れがあってはならない。
5. めっきのはんだぬれ性
めっきのはんだぬれ性は、下記規定の浸せき試験によるほか、JIS C 0050などにより試験を行い、浸せきした部分は均一にぬれており、はんだの表面は平たんでこぶがあってはならない。
- a)
- 試験片に非腐食性のフラックス(例えば、松やにをアルコールに溶かしたもの)を塗布する。
- b)
- JIS Z 3232に規定するH60A、H63Aまたはこれと同等の共晶組成のはんだ浴を250±5℃に保持し、試験片を3秒間浸せきする。
- c)
- 試験片を取り出して、余分のはんだを軽く振り切り、空冷する。
6. めっき前の応力除去
鉄および鋼素地について、めっき前の応力除去が指定されている場合、その条件は、受渡当事者間の協定による。
7. めっき後の加熱処理
めっき後の光沢化、ウィスカ防止、鉄および鋼素地に対する水素ぜい性除去などが指定されている場合、その加熱処理条件は、受渡当事者間の協定による。
めっきの呼び方(JIS H 0404による)
記号 | 説明 |
---|---|
Ep-Cu/Ni, Sn 5 | 銅素地上、ニッケル下地めっき、電気すずめっき5μm以上 |
Ep-Cu/Ni, Sn [3] | 銅素地上、ニッケル下地めっき、電気すずめっき3級 |
Ep-Fe/Cu 5, Sn 5 f | 鉄鋼素地上、銅下地めっき5μm、電気すずめっき5μm以上、リフロ処理 |
Ep-Fe/Cu 5, Sn [2] : D | 鉄鋼素地上、銅下地めっき5μm、電気すずめっき2級、使用環境D |