適用範囲
この規格は、電気めっき（自己触媒型の無電解めっきを含む）の記号による表示方法について規定する。
めっきの記号による表示方法
めっきの記号による表示方法は、以下「記号」に規定する記号を用い、下記[1]に示す順序による。
ただし、当分の間、[2]に示す順序によってもよい。
なお、特に表示の必要がない記号は省略してもよい。
注釈
- (注2)：
- 電気めっきまたは無電解めっきを表す記号。ただし、電気めっきと無電解めっきとによってめっき層が構成されている場合には、最終めっきを表す記号。
- (注3)：
- ハイフン
- (注4)：
- 斜線
- (注5)：
- 多層めっきの場合には、素地に近いめっきの構成の順に左から右へコンマを付けて順に表示する。電気めっきと無電解めっきとによって構成されている場合で、(注2)の記号を異なるめっきでは、めっきの記号の前にそれを表す記号をハイフンを付けて表示する。
- (注6)：
- コロン
- (注7)：
- めっきの厚さによる等級を表す記号（「記号」【5】による）。
記号
【1】めっきを表す記号
電気めっきを表す記号は、EpまたはSPLEとする。但し、無電解めっきを表す記号は、ELpまたはSPLELとする。
【2】素地の種類を表す記号
素地の種類を表す記号は、素地が金属の場合には、その金属の元素記号とし、合金の場合には主成分金属の元素記号とする。
例1) 鉄、鋼およびそれらの合金：Fe
例2) 銅およびその合金：Cu
例3) 亜鉛およびその合金：Zn
例4) アルミニウムおよびその合金：Al
例5) マグネシウムおよびその合金：Mg
また、素地がプラスチックの場合にはPL、素地がセラミックの場合にはCEとする。
【3】めっきの種類を表す記号
めっきの種類を表す記号は、その元素記号による。合金めっきの場合には、合金を構成している主な元素の元素記号をハイフンで結ぶ。
なお、特に主要な合金元素の組成を示す場合には、その質量パーセントの数値を、元素記号の次に（ ）を付けて示すことができる。
【4】めっき厚さ表す記号
めっき厚さは、有効面での最小厚さをμm単位で示した数字とする。
【5】めっきの厚さによる等級を表す記号
めっきの規格で、めっき厚さによる等級分けを行っている場合には、等級分けによってめっき記号および厚さを示す。
| 等級 | 記号 | NiまたはCu+Niの厚さ（μm） |
|---|---|---|
| 1級 | Ep-Fe/Ni [1]/ | 3以上 |
| 2級 | Ep-Fe/Ni [2]/ | 5以上 |
| 3級 | Ep-Fe/Ni [3]/ | 10以上 |
【6】めっきのタイプを表す記号
めっきのタイプおよびその記号は下表のとおりとする。
| めっきのタイプ | 記号 | 参考（めっきの種類） |
|---|---|---|
| 光沢めっき | b | 銅めっき、ニッケルめっき、クロムめっき、金めっき、銀めっき、合金めっきなど |
| 半光沢めっき | s | |
| ビロード状めっき | v | |
| 非平滑めっき | n | |
| 無光沢めっき | m | |
| 複合めっき | cp | |
| 黒色めっき | bk | |
| 二層めっき | d | ニッケルめっきなど |
| 三層めっき | t | |
| 普通めっき | r | クロムめっき |
| マイクロポーラスめっき | mp | |
| マイクロクラックめっき | mc | |
| クラックフリーめっき | cf |
【7】後処理を表す記号
後処理を表す記号は下表のとおりとする。2種類以上の後処理を行う場合には、処理操作の順または素地に近い順に左から右に各記号をコンマで区切って示す。
| 後処理 | 記号 | 後処理 | 記号 |
|---|---|---|---|
| 水素除去のベーキング | HB | 塗装 | PA |
| 拡散熱処理 | DH | 着色 | CL |
| 光沢クロメート処理 | CM1 | 変色防止処理 | AT |
| 有色クロメート処理 | CM2 |
【8】使用環境を表す記号
装飾、防食などの目的でめっき製品を使用する場合、その使用環境を下表のとおり区分し、記号で示す。
| 使用環境 | 使用環境条件 | 記号 | 参考（例） |
|---|---|---|---|
| A | 腐食性の強い屋外環境 | A | 海浜、工業地域など |
| B | 通常の屋外環境 | B | 田園、住宅地域など |
| C | 湿度の高い屋内環境 | C | 浴室、厨房など |
| D | 通常の屋内環境 | D | 住宅、事務所など |
電気めっきの記号による表示例
例1）Ep-Fe/Cu20, Ni25b, Cr0.1r/ ：A
電気めっき、鉄鋼素地、銅めっき20μm以上、光沢ニッケルめっき25μm以上、普通クロムめっき0.1μm以上、腐食性の強い屋外での使用
例2）Ep-Fe/Zn 15/CM 2 :B
電気めっき、鉄鋼素地、亜鉛めっき15μm以上、有色クロメート処理、通常の屋外での使用
例3）Ep-Cu/Ni 5b, Cr0.1r/ :D
電気めっき、銅合金素地、光沢ニッケルめっき5μm以上、普通クロムめっき0.1μm以上、通常の屋内での使用
例4）Ep-Fe/ELp-Ni 15, ICr 20/
最終めっきが電気めっき、鉄鋼素地、無電解ニッケルめっき15μm以上、工業用クロムめっき20μm以上
例5）Ep-Al/Cu10, Ni 10b, Cr0.1r/ :D
電気めっき、アルミニウム合金素地、銅めっき10μm以上、光沢ニッケルめっき10μm以上、普通クロムめっき0.1μm以上、通常の屋内での使用