アルミニウムは軽量であることと加工性のよいことから、日用品、機能部品、構造材などあらゆる産業分野で使われている馴染みのある材料であります。
アルミニウム合金は、用途別には、板、線、条、管、棒などの展伸材と、砂型・金型鋳物やダイキャストなどの鋳物材に分類できます。また強度的には、熱処理材と非熱処理材に大別できます。これらを概説すると次表のようになります。
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JIS記号
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ア ル ミ ニ ウ ム お よ び 合 金 材 |
展 伸 材 |
純アルミニウム | 高純度AL | 99.9%以上 | A10×× |
工業用純AL | 99.8%AL | A1××× | |||
99.7%AL | |||||
99.5%AL | |||||
99.0%AL | |||||
アルミニウム合金 | 非熱処理型合金 | AL-Mg系 | A3××× | ||
AL-Si系 | A4××× | ||||
AL-Mg系 | A5××× | ||||
熱処理型合金 | AL-Cu系 | A2××× | |||
AL-Mg-Si系 | A6××× | ||||
AL-Zn系 | A7××× | ||||
鋳 物 材 |
非熱処理型合金 | 純AL系 | |||
AL-Si系合金 | AC3Aなど | ||||
AL-Mg系合金 | AC7Aなど | ||||
熱処理型合金 | AL-Cu-Si系合金 | AC1A,ADC12 | |||
Al-Cu-Mg-Si系合金 | AC4D,ADC14 | ||||
AL-Mg-Si系合金 | AC1B,ADC3 |
このように、アルミニウム金属には多く種類があり、その化学的性質は著しく異なります。アルミニウムが活性であるためばかりでなく、シリコンのように不活性な元素を含有するものが多いので、鉄鋼や銅合金とは異なった前処理が必要です。
注意点をあげると、次の通りです。
- 1)
- アルミニウムは両性金属であるため、酸にもアルカリにも侵されやすいので、通常の前処理の前に行う予備洗浄で、表面のよごれの殆どを除去しておくことが必要です。
- 2)
- 前処理で表面を活性化しても、水中や工程間を移動中に再酸化してめっきの密着性を低下させるので、置換めっきや特殊な陽極酸化皮膜をつけます。
- 3)
- 合金の種類によっては、酸やアルカリに不溶性の成分が含まれています。これらは素地表面に露出してめっきや陽極酸化の妨げになるので、これを除去する(デスマット)ことが必要です。
- 4)
- 置換めっきは通常、亜鉛置換、亜鉛を含む合金の置換、錫置換が行なわれます。陽極酸化皮膜は燐酸浴で多孔質の皮膜をつくり、それをアンカーとして電気めっきをします。