実用化されている亜鉛合金めっきには、次の2つがあります。
(1)亜鉛-ニッケル合金めっき
苛酷な腐食環境で使用される製品や部品に適用されるめっきで、亜鉛めっきでは相当な厚膜にしないと対応できない重負荷対応の防食めっきである。薄くて高耐食性のめっきとして、その地位を確立している。
通常ニッケル5〜10%を含有し、有色クロメート処理したものは、塩水噴霧試験で2000時間以上も赤錆の発生をみない高耐食性である。また、耐熱性に優れ、加熱処理後の耐食性と二次加工性にすぐれている。
また、めっきによって、水素脆性を起さないので、炭素鋼や合金鋼に高耐食性のめっきが可能であることから、自動車の機能部品など重要な地位を占める場所に使われている。このめっきには、有色クロメートとブラウンクロメート処理が実用化されている。
(2)亜鉛-鉄合金めっき
めっき厚5μmで、塩水噴霧試験2000以上という高耐食性の防食めっきである。皮膜中には鉄を0.2〜0.7%含有するが、0.4%のときが最高の耐食性を示すという。
とくに黒クロメートの場合、他の亜鉛系めっきより耐食性は優秀で、しかも安価である。また、めっきのつきまわり、均一電着性がよく、光沢クロメート、有色クロメート、黒色クロメートが可能であるが、黒色クロメートの需要が圧倒的に多い。
※ | クロメート処理 クロム酸や重クロム酸塩を含む溶液に、亜鉛めっきやカドミウムめっきした製品を浸漬すると、皮膜の一部が溶解して、製品の表面に皮膜物質とクロムの複雑な化学構造をもつ皮膜が生成される。これを安定させ乾燥したものがクロメート皮膜である。この膜の生成によって耐食性が大幅に増加する。また外観も装飾的になる。しかし最近は、クロムフリーの動きが盛んで、クロムを使わないクロメート処理に移行中である。 |