防食めっき | 技術情報 | MISUMI-VONA【ミスミ】

　各種の製品・部品は殆どが大気中で使用されます。そこには湿気、酸化雰囲気、硫化雰囲気、塩分などがあり、程度の差はありますが、これらの腐食環境の晒されることになります。これらから製品や部品を守るために施されるめっきを「防食めっき（防錆めっきともいう）」といっています。
　工業材料として、最も多く用いられるのが鉄鋼であるので、これに最も適した防食めっきとして、亜鉛めっきが用いられていることはよく知られています。装飾品として用いられ、装飾めっきが施されるものについても耐食性を求められますが、さらに重度の腐食環境においても耐えられるように施される防食処理のうち、主なる防食めっきについて概要をのべると、次のようになります。

【表】防食めっきの種類と用途

めっきの種類	特徴と用途
亜鉛めっきめっき浴の種類・青化浴・ジンケート・浴酸性浴	亜鉛そのものの耐食性（亜鉛は鉄鋼の犠牲陽極としてよく知られているが、これは亜鉛の単極電位が鉄よりも卑なため、鉄の代わりに亜鉛が先に溶解して鉄の溶解を防止するため）と亜鉛めっき上に施されるクロメート処理の耐食性により、鉄鋼の防食めっきとして広く用いられている。　昔から使われている亜鉛めっき浴で、プレス物、ボルト、ナットなどに施され、めっき後の加工性、めっき厚の均一性が優れている。青化浴は猛毒のシアンを含むので、これを含まない代替浴、めっき皮膜の硬度は青化浴より高い。　上記２つのアルカリ浴にくらべ、電流効率がよく、鋼や鋳鉄へのめっきも可能で、また水素脆性が殆どないなどの特徴がある。
カドミウムめっき	塩分に対してとくに優れた耐食性があり、船舶・航空機関係には必須のめっきである。亜鉛めっきと同様クロメート処理される。
錫-亜鉛合金めっき	塩分に対する耐食性ではカドミウムめっきに次ぐ性能をもっている。はんだ付け性や塗料密着性、めっき後の加工性が優れているので電気部品等に多く用いられる。
亜鉛-ニッケル合金めっき	高耐食性の防食めっきで、有色クロメート処理を施したものは、亜鉛クロメート処理品の数倍以上の耐食性を示している。また、水素脆性がないので鋼や合金鋼を使用した自動車の機能部品等に施されている。
亜鉛-鉄合金めっき	上記と同様の高耐食性の防食めっきで、有色クロメートを施したものは、5um程度の膜厚で、塩水噴霧試験2000時間以上。また、クロメート処理は、光沢・有色・黒が可能。