電気めっきの作業工程は、概略、前作業→前処理→めっき→後処理→後作業の順に行なわれます。
※ | 注)めっき方法 ワークの保持や通電の方法は、ワークの大きさや形状によって、次のようなめっき方法が採用されます。 |
(1)引っ掛けめっき
ワーク1個に対して数箇所の電気的接点を確保して、液中に吊るしてめっきします。
(2)バレルめっき
引っ掛けめっきできないような(或いは不経済な)小さなワークは、大量にバレル(樽)めっき装置に入れて、回転しながら通電してめっきしますので、非常に省力的です。しかし、この方法はすべてのめっきに適用できる訳ではありません。
(3)連続めっき(フープめっき)
線材やフープ(帯状)など連続した長尺もののめっきには、専用のめっき装置を使って、前処理から後処理まで、ワークが一貫してめっき装置内を移動して、めっきを完了する方法です。
(4)その他
網付けめっき、筆めっき、部分めっきなど。
めっき工程 | 作業の内容 | |
前作業 | 素材前加工 冶具取り付け |
めっきを施す前に、素材表面に要求された機能や外観を発揮するような機械的処理を施すこと。例えばバフ研磨、サンドブラスト、ホーニング、サテン処理などで鏡面、梨地、サテン模様、スピン、ダイヤカットのめっき面をつくる。冶具はワークをめっき液中に吊るして通電するための道具、小物部品にはバレルが用いられる。 |
前処理 | アルカリ脱脂*、酸洗い*、 電解洗浄*、酸活性化* |
前処理の基本は、素地表面のヨゴレ(ごみ,塵芥、酸化膜、油性付着物など)を除去して、素地の地肌を露出させることにある。従って、処理する素材の材質、加工歴、除去の難易度等によって酸・アルカリの種類、濃度、処理温度・時間等を変える。 |
めっき | 銅*、ニッケル*、クロム*、 亜鉛*、工業用クロム*、 金*、銀*、錫*、 各種合金めっき* など |
多層めっきでは、この工程を必要な回数だけ繰り返すが、どのような組み合わせでも可能という訳ではない。 |
後処理 | 中和*、クロメート処理*、 変色防止*、乾燥 |
後工程では、ワークに付着した微量のめっき液の除去、更に耐食性を高めるためのクロメート処理や、銅や銀めっきの変色防止処理、ワークに付着している水分除去が行なわれる。 |
後作業 | 冶具取り外し ベーキング・塗装等 検査・包装 |
素材が炭素鋼など酸洗いやめっき中に水素を吸蔵するものは、めっき後直ちに熱を加えて水素を追い出す(ベーキング)。有彩色の装飾めっきでは塗装(クリヤー、有色)するものがある。金色めっき、パール調ニッケル、古美(ふるび)など。 |
*印の各工程の後には水洗工程があります。