六価クロムが社会の話題をさらっていますが、問題点は二つあります。一つはめっき工程や化成工程での六価クロムであり、もう一つは、化成皮膜中に存在する六価クロムの問題です。今回は、前者についてのお話です。
(1)常時排水
(1)還元法
六価クロムを含有する無害化処理対象物としては、シアンの場合と同様に、常時排水と濃厚廃液があります。常時排水は、クロムめっきや亜鉛めっき後のクロメート処理の工程から排出されますが、処理の方法としては一般に次のように還元処理やイオン交換法が行われています。
1. ↓ |
硫酸酸性(pH2〜3)にした後、重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加して、六価クロム(クロム酸)を三価クロム(硫酸クロム)に還元します。 4H2CrO4 + 6NaHSO3 + 3H2SO4 → 2Cr2(SO4)3 + 3Na2SO4 + 10H2O |
2. | 三価のクロムである硫酸クロムは、アルカリでpH9に中和すると、水酸化クロムの沈殿になりますので、これを沈降分離します。 Cr2(SO4)3 + 6NaOH → 2Cr(OH)3 + 3Na2SO4 |
(2)イオン交換法
これは、陰イオン交換樹脂を用いて陰イオンであるクロム酸を吸着除去する方法です。フローシートの一例を【図1】に示します。
クロム酸を吸着するイオン交換樹脂は、やがて飽和して吸着しなくなりますので、六価クロムがリークする前に予備の樹脂に交換します。
飽和したイオン交換樹脂は、クロム酸メーカーが引き取り、樹脂の再生を行い、溶離したクロム酸は資源として再利用し、再生の終了したイオン交換樹脂は表面処理工場へ返却されます。
(2)クロム酸濃厚廃液
廃クロムめっき液、廃クロメート液など、クロム酸を含む濃厚廃液は、工場内で処理することは困難で、クロム酸メーカーで引き取り、無害化・再資源化が行われるルートが整備されています。