水質汚濁防止法など水質関連法令では、健康項目に「ほう素およびその化合物」が10ppmに規制されております。ほう素(B)を除去する方法には、イオン交換法など幾つかの方法が開発されておりますが、最も確実な対策は、ほう素を使用しないことです。
めっき工場におけるほう素発生源はニッケルめっきです。電気ニッケルめっきは、光沢、半光沢、つや消しめっきなど外観の変化に富み、金、銀、クロムめっきなどの下地めっきとして装飾めっきや機能めっきなど多方面に使われています。
最も多く使われているめっき浴はワット浴で、これには通常、めっき液1リットル中に30gほどの「ほう酸」が含まれています。
最近、ほう酸を使用しないニッケルめっき浴が東京都産業技術研究所により開発されました。これは、ほう酸の代わりにクエン酸を使用するものですが、従来から使われてきたワット浴の設備や作業条件を変更することなく使用できるばかりでなく、これによる皮膜は、微細で硬いが柔軟性に富み、いおうを含む光沢剤を使用しなくても平滑な外観をもっております。
【表1】に両者の比較を、【表2】にクエン酸浴の適用が期待される応用分野を示します。
【表1】特性比較
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【表2】期待されるクエン酸浴の適用用途
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