化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition)はCVDと呼ばれ、多くの分野で活用されています。この方法の成膜の原理は、真空容器内で成膜材料を蒸発するのではなく、外部から成膜材料のガスを導入して、高温の容器内で基板との化学反応によって成膜するものです。その方法には次表のようなものがあります。
【表1】CVD成膜法
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代表的なプロセスの概要を説明しましょう。
(1)熱CVD
熱CVDのプロセスを【図1】に示しました。成膜材料(反応物質)としては、金属の塩化物などのハロゲン化物が用いられ、それを運ぶキャリヤーガスや反応ガスには、水素が単独または、窒素ガス、炭化水素系ガスとの混合ガスが用いられます。
例えば、窒化チタン膜TiN生成の場合には、反応物質に四塩化チタンTiCl2、キャリヤースは水素H2、反応ガスは窒素N2を用います。四塩化チタンは大気圧常温では液体ですからあらかじめ加熱して気化し、水素や窒素は不純物を除去してレトルト(処理槽)内に送ります。処理槽は約1000℃に保持されていますので、これらのガスが処理物の表面に接触すると、次の反応が進行して成膜します。
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この方法には、処理槽内の圧力を大気圧で行う「常圧熱CVD」、と減圧状態(103〜105 Pa)で行う「減圧熱CVD」があります。