今まで、めっき、アルマイト、化学皮膜、塗装、溶射などについて、ご紹介をしてきましたが、これから、真空または、大気圧より低い圧力の気体で満たされている空間で金属、無機化合物、有機化合物などの薄膜を形成する表面処理方法、ドライプロセス(乾式処理法)について、お話をしましょう。
ドライプロセスとは、めっきやアルマイトなど、水溶液を使用する表面処理方法(ウエットプロセス・湿式処理)に対する、水を使わない表面処理方法の呼び方です。各種の薄膜形成方法について、分類を【表1】に示しました。
【表1】各種薄膜形成法一覧
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電気めっきが、めっきしたい金属のイオンを含有する水溶液中で、電気化学的反応によって行われるのに対して、ドライプロセスの成膜では、真空または若干のガス圧中で分子または原子の大きさに分解された皮膜材料の気体を、被処理物の表面に飛ばすことで行います。
したがって、ドライプロセスで最も重要で基本的な技術は、容器内を真空にする技術です。まず、真空について考えてみましょう。