今まで、めっき、アルマイト、化学皮膜、塗装、溶射などについて、ご紹介をしてきましたが、これから、真空または、大気圧より低い圧力の気体で満たされている空間で金属、無機化合物、有機化合物などの薄膜を形成する表面処理方法、ドライプロセス(乾式処理法)について、お話をしましょう。
 ドライプロセスとは、めっきやアルマイトなど、水溶液を使用する表面処理方法(ウエットプロセス・湿式処理)に対する、水を使わない表面処理方法の呼び方です。各種の薄膜形成方法について、分類を【表1】に示しました。

【表1】各種薄膜形成法一覧

大分類 中分類 小分類 具体例
ウエットプロセス(湿式) めっき法 電気めっき 金めっきなど
無電解めっき Ni-P合金めっきなど
陽極酸化 アルマイト皮膜 硫酸皮膜など
化学皮膜法 化成皮膜 ベーマイトなど
ドライプロセス(乾式) 物理気相成長法(PVD) 真空蒸着 Al蒸着など
スパッターリング 反応性スパッタリング
イオンプレーティング TiN、TiCなど
イオン注入 元素イオンを打ち込む
イオン窒化・浸炭 N、Cのイオン注入
レーザー処理 レーザー光の熱エネルギーを利用した処理
化学気相成長法(CVD) 常圧CVD 化合物の分解または化合の化学反応を利用した成膜法
減圧CVD
プラズマCVD
光CVD
プラズマ重合 プラズマ重合有機皮膜 炭化水素やケイ化水素
その他 塗布法 固体潤滑塗装 フッ素系樹脂塗料
溶射 プラズマ溶射 金属、セラッミック溶射
溶融成膜 溶融めっき Zn 溶融めっき

 電気めっきが、めっきしたい金属のイオンを含有する水溶液中で、電気化学的反応によって行われるのに対して、ドライプロセスの成膜では、真空または若干のガス圧中で分子または原子の大きさに分解された皮膜材料の気体を、被処理物の表面に飛ばすことで行います。
 したがって、ドライプロセスで最も重要で基本的な技術は、容器内を真空にする技術です。まず、真空について考えてみましょう。