CVD法による皮膜合成の例

　化学気相成長法（CVD）は、基材（ワーク）の表面に、炭化物、酸化物、窒化物、合金、単体元素などを合成して、表面改質するものですが、その皮膜や合成原料の種類、合成温度、応用面などについての一例を【表1】に示します。

【表1】CVD法による皮膜合成の例

皮膜 皮膜の原料 合成温度(℃) 応用
B BCl3 350〜400 耐熱金属表面のほう化処理
950〜1200 黒鉛、耐熱合金上に被覆
1200〜1450 W、Ta、Mo上に被覆、軸受け
BBｒ 550〜600 耐熱金属表面のほう化処理
C CH4,H2 600〜2000 C-C複合材料、ダイヤモンドの製造
Al Al(C2H5)2 400 Al+Al2O3の薄膜抵抗体
Si SiH4 640 太陽電池
SiCl4 980〜1080 Ni基超合金上に被覆、耐食
SiH4 950〜1250 黒鉛上に被覆、太陽電池
Nb NbCl5 700〜1150 鋼の耐食性向上
Mo MoCl5 600〜1350 耐食皮膜
Ta TaCl5 900〜950 耐食皮膜
W WF6 560 鋼の耐食性向上
WCl6 1000 黒鉛上に被覆、ロケットノズル
Ta-W TaCl5,WCl6 950〜1200 銃身の内面処理
SiC SiH4 1100〜1400 炭素繊維上に被覆、SiC繊維
TiC TiCl4 1100〜1800 黒鉛上に被覆、金属との反応防止
＞1200 超硬合金上に被覆、工具
ZrC ZrCl4,CH4 1050〜1500 黒鉛上に被覆、断熱性向上
WC WCl6、CH4 900〜1150 超硬合金上に被覆、工具
W2C WF6,C6H6 400〜700 鋼上に被覆
TiN Fe,TiCl4,N2 1000 超硬合金上に被覆
Al2O3 AlCl3,CO2,H2 850〜1100 超硬合金上に被覆
皮膜 皮膜の原料 合成温度(℃) 応用

　例えば、窒化チタン膜は、次のような化学反応で成膜されます。

4Fe（固体）+2TiCl4（気体）+N2（気体） → 2TiN（固体）+4FeCl2（気体）
　 1000℃ 　
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