真空容器内に、基板とターゲットとなる金属を対峙させ、真空にしてから、少量のアルゴンガスを導入し、基板(+)と金属(−)間に直流電圧を印加すると放電が起こります。この放電によってアルゴンはイオン化して金属に衝突します。すると金属から金属原子やイオンが叩き出されて基板上に堆積します。この方法は直流スパッタリングと呼ばれますが、次のような方法があります。
(1)直流スパッタリング
直流によるグロー放電を利用するもので、2極、3極、4極スパッタリングがあります。2極スパッタリングは、ターゲットが一極で、プラズマ発生と同時にイオンの加速が行われます。3極、4極スパッタリングは、プラズマを発生させるための熱陰極が別に設置されているので、広範囲の成膜圧力が採用できます。
(2)高周波スパッタリング
直流スパッタリングは導電性のターゲットに限られますが、RF法では、グロー放電を利用するためターゲットに絶縁物を使用することができ、広範囲の成膜が可能です。
(3)マグネトロンスパッタリング
本法は、ターゲットにマグネットを配置して電離効率を高めているので、成膜速度が大きいのが特徴です。また、通常のスパッタリングより低圧力で可能なため、基板の温度上昇が少なく、低温スパッタリングと呼ばれています。
(4)ECRスパッタリング
マイクロ波と電子サイクロトロン共鳴(ECR)現象を利用してプラズマを発生させるもので、広範囲の膜を低温高速で得ることができます。
(5)イオンビームスパッタリング
プラズマの発生は専用の場所で行われ、発生したイオンはマグネットで加速されてターゲットを叩き、基板上に成膜されます。そのため高真空下での高純度の成膜が可能です。欠点は、成膜速度が小さいことです。
このように、真空蒸着や坩堝を用いるイオンプレーティングでは、物質の蒸気圧を利用しているため合金などの成膜は困難でありますが、スパッタリング法では、若干の工夫によってこのような問題を解決できます。