プレス機械の中で最もよく使われているクランク機構プレス(クランクプレス)は,、【図1】に示すような機構となっています。
構造がシンプルであり、作りやすい機械であることから普及しています。クランク軸にはエキセン軸と呼ばれる形もありますが、最近では軸の形にこだわることは少なくなっています(プレス機械の完成度が高くなり、仕様を確認することで必要機能を満足できるため)。
もう一つの代表的な機構として、ナックル機構のプレス機械があります。【図2】に示す機構の機械です。クランク機構にリンクを追加して、スライドを駆動するようにした機械です。
機構を変えてプレス機械を作りたくなる理由は、【図3】に示すストローク曲線のためです。
クランクプレスでは、スライドは下死点に到達すると直ぐに戻り工程に入ります。プレス加工では下死点で少し押さえ時間があると、加工した形状が安定する性質があります。この性質を引き出したいために、運動機構を工夫します。【図3】のナックル機構のストローク曲線はクランク機構に比べて、下死点付近でなだらかとなり、押さえ時間がクランクプレスより長いことがわかります。この加工曲線を求めて作られた機械と言えます。
ナックルプレスはこのような特性から、潰しを含んだ加工や曲げのスプリングバック対策をしたいようなときによく使われます。欠点としては、長いストロークを作ることが難しいこと、節が多くなるため総合隙間が大きくなりやすい、等がありますが、現在では改良され高精度なプレス機械が作られるようになっています。
以上の他にリンクプレスと呼ばれるものもあります。下死点ではゆっくり、戻りは早くと言った内容を求めたものです。また、機械的な内容に変えて、モーターでの変化を付けたものが出てきています。「サーボモータープレス」と呼ばれるものです。機械的機構のプレス機械は、1ストローク内でのクランク軸の回転が一定の状態を想定しています。軸の回転を変化できれば、自由にストローク曲線を作れることになります。金型作りが少し楽になるかも知れません。