プレス機械は、荷重中心(金型が仕事するときの加工力の中心)が、プレス機械スライドの中心と一致していることを前提に作られています。しかし、金型は製品形状の制約や加工方法などによって、金型中心と荷重中心を一致させることが難しい場合が多くあります。順送加工用の金型では、全てが金型中心と荷重中心がずれていると考えてよいと思います。このような金型をプレス機械に取り付けると、プレス機械中心と荷重中心がずれて偏心荷重となります。
シングルクランク(1点プレス)のプレス機械では、【図1】に示すようスライドは傾き、ボルスタプレートとスライドとの平行が崩れます。その傾きは偏心荷重の大きさに比例します。当然、金型寿命に影響を与えます。シングルクランクのプレス機械では、偏心量と荷重の関係に関する決まりがありません。金型の取り付け方を工夫して偏心量を小さくするか、能力の大きなプレス機械を使うなどの工夫が必要です。
ダブルクランク(2点プレス)のプレス機械では、シングルクランクのプレス機械に比べて影響は小さくなります。精度を必要とする製品の加工では、シングルクランクプレスよりダブルクランクのプレス機械を使用することがよいとされる理由のひとつに、この偏心荷重との関係があげられます。ダブルクランクプレスの許容偏心荷重の求め方を【図2】に示します。