逆再絞りを【図1】「加工内容」の図で説明します。加工前の形状は普通の絞り加工で作ります。その形状を加工途中の図のように、外側が内側になるように絞っていきます。
加工後の製品は、加工前の形状の内側が外形になります。このようにすることで製品の材料は大きく動かされ、絞りのストレスが変化し、通常の絞りより大きな減少率が得られます。
絞り型の構造は【図2】から【図4】のようになります。どの構造にも共通するのがダイの形状です。大変に弱々しく見えます。しかし、ダイの外形にこれから絞る製品の内径がかぶさり、絞られる過程では製品がダイを締めるように働き、絞り加工で外にダイを開こうとする力の抵抗となりバランスを取るせいか、以外とダイの破損は少ないのです。ダイ内径のストレート部分は短い方がよいです。
絞り径と材料板厚の関係から、ストリッパの必要の有無がでてきます。絞り径に対して材料の板厚が薄いと【図4】の構造となります。材料がUターンする部分にしわがでないように押さえるためです。
このような特徴を持つ逆再絞りですが、以外と使われていません。その理由はプレス加工の作業性にあります。絞り加工の内容から、トランスファー加工や順送加工に採用しにくいためです(完全に反転させないで途中で止める加工は別)。そのため単工程加工となることが多いため、作業性が悪いと判定されるためのようです。