【図1】がV曲げ型の構造です。V字形状のパンチとダイを使って曲げ加工する、分かりやすい構造です。
パンチ/ダイの標準的な寸法設定の数値を【図2】に示します。パンチ/ダイの肩幅の大きさは、材料板厚の8倍が標準です。幅としては板厚の3倍から8倍くらいの範囲です。ダイの肩半径は材料が滑る部分です。小さいと製品に曲げキズが入ります。大きい方の影響は少ないです。
パンチ/ダイの角度については90度曲げであれ、パンチ/ダイともに同じ90度に作るのがふつうです。パンチの下死点での突き具合によって製品の曲げ角度は変化しますが、多少開き気味になるのが普通です。曲げた製品が型から離れると、曲げ角度が変化することを「スプリングバック」と呼びます。通常は開く方に変化することが多いです。
スプリングバック対策としては、パンチの角度を少し小さくすることが多く使われています。たとえば軟鋼板(SPCC)の90度曲げの例で説明しますと、90度に曲げると2〜3度位ですが、金型から離れると開くのが普通です。金型から離れたときに90度となるようにするためには、パンチ/ダイの角度を小さくすればよいと判断できます。実際では、ダイの角度は90度、パンチの角度を87から88度にすることが多いです。このような形にして、パンチの突き具合で製品の角度を調整することが多いです。
パンチの幅とダイの肩幅のバランスが悪くても曲げ角度は変化します。それを示したものが【図3】です。ダイ肩幅に対してパンチの幅が広いと、製品は【図】に示したような形状に開きます。逆にパンチの幅が狭いと曲げ角度は開きます。
パンチ/ダイの幅を同じにするのは、この角度不要対策になっているのです。