金型製作では組立・分解がしやすく、組立・分解を繰り返しても金型精度に変動が無いことが求められます。例えば【図1】のような入れ子部品は、プレートの穴に圧入されることが多いですが、組み込み導入部(0.01mmほど周囲に段をつける)が無いと、穴に対して入れ子が傾き圧入がうまくいかず、穴の側面を傷つけてしまうことがあります。
【図2】は部品の加工誤差対策です。穴と入れ子部品の寸法を、精度よく圧入状態の寸法に仕上げることは大変に難しいものです。考えられる方法としては、プレートの穴を仕上げておき、入れ子部品を合わせながら加工する現物合わせ加工がありますが、能率的な作業方法とは言えません。【図2】は穴、入れ子ともに基準面からの寸法を求め、残り部分は多少楽な精度で仕上げ、圧入状態確保と誤差調整をスペーサで行うようにした設計です。部品加工の効率は高まります。そのしわ寄せが多少、金型組立部門に回りますが。
【図3】は圧入した入れ子を抜き取る工夫です。入れ子固定用のボルト穴にタップを切っておき、入れ子を抜くときにはこのタップにボルトを立て引き抜きます。具体的には、入れ子の固定ボルトをM4とした場合、その穴径は4.3mm程度の穴となります。その穴にM5のタップを加工しておくのです。
【図4】は組み込み方向の間違いをなくすバカよけ(フールプルーフ)です。方向に注意して組立る。といった内容のものは必ず、いつか組み込みミスを犯すものです。だれがやっても一つの方向にしか組み込むことができないように設計することです。長方形の部品ではどこか一つの角に面を取ることで方向が決まります。
ここに示したいくつかは注意すべき事柄の一部です。類似のものは他にも多くあると思います。親切な部品設計を心がけましょう。