順送り加工では、【図1】に示すように、送り長さ分の材料を移動させながら加工を進め、製品を完成させて行きます。
材料を型内に最初に入れた先端が、加工の進行に伴って各ステージを移動していくとき、各ステージでの加工が半欠けとならないように注意します。最後のブランク抜きでは半欠けになりやすいです。半欠けを起こすとパンチに横荷重が働き、ダイとのかじりを起こしやすくなり、バリ発生の原因となります。【図1】は半欠けとならない理想的なバランスとなっています。ブランクレイアウトによってはどうしても半欠けとなることがありますが、その場合はできるだけ大きな面積が加工できるように工夫します。
次のような問題にも注意します。【図2】に示す内容です。
【図2】(a)では、パイロット用の穴抜きをしていることを想定しています。そのときに材料が傾いた形で穴加工した状態を示したものです。
【図2】(b)は、次の加工のために材料を送り長さ分移動した状態です。材料の傾きを直していますが、傾いた状態で穴抜きしていますから、パイロット穴に対して片方の穴は傾き分ずれることになります。
【図2】(c)は、パイロットが働き、穴加工を完了した状態を示しています。ずれた穴はパイロットで拾われて、パイロット穴位置に修正されます。修正された状態は(a)の材料が傾いた状態を意味しており、パイロットで位置修正後に加工される穴は、更に傾いた位置で穴抜きされます。この状態が進行すると材料が材料ガイドに対してせる状態となり、パイロットでの材料矯正不能にいたり、加工ミスを起こします。この加工トラブルの原因は材料のストックガイドの問題で、ストックガイドが材料幅に対して広すぎた、または短かったときに発生します。
この問題の対策として、ストックガイドを異常に長くすると、別の面から問題を起こします。それが【図3】に示す内容です。コイル材には横曲がりがあります。キャンバとも呼びます。材料のスリッタの異常によって発生します。材料幅が狭いほど発生しやすくなります。材料を型内に入れるときには問題が無くても、キャンバがあると傾けて材料を入れたのと同じ状態を作り出します。キャンバの影響は型が長いほど発生しやすいので、ストックガイドをむやみに長くしたり、金型を必要以上に長くすると影響を受けやすくなります。
ストックガイドの長さは、材料幅の1〜3倍程度を目安とします。
サイドカットを使うことで、ある程度この問題を改善することができますが、あまり大きな期待はしない方がよいでしょう。ここではサイドカットは送り長さのコントロールが目的です。