プラスチック成形材料は、高分子からできあがっていますが、その化学式によっておおまかに以下のような傾向があることが知られています。
- (1)
- 分子の鎖が大きいと化学的に安定する
- (2)
- 分子が網状構造になると化学的性質が強くなる
- (3)
- 主鎖に結合している側鎖基の種類によって化学的性質が変動する
- メチル基、エチル基、酸エステル基等のアルキル基が側鎖基として付くと有機溶剤に溶解しやすい傾向がある
- 水酸基、ハロゲン基、有機酸基等が側鎖基として付くと有機溶剤に溶解しにくい傾向がある
- 水酸基、アミノ基、アルデヒド基、スルフォン酸基等が側鎖基として付くと水に溶解しやすくなる
- 有機アルキル基、有機酸エステル基、ハロゲン基が側鎖基として付くと水に溶解しにくくなる
- アルキル基、ハロゲン基が側鎖基として付くと耐酸性、耐アルカリ性が強くなる
- 水酸基、アミノ基等の親水基が側鎖基として付くと耐酸性、耐アルカリ性が弱くなる
- 有機酸基、スルフォン酸基が側鎖基として付くとアルカリに溶解しやすくなる場合がある
- プラスチック材料は、分子構造の類似した溶剤に溶けやすい傾向がある
- 無極性基を含むプラスチック材料は、無極性溶剤に溶けやすい
- 有極性基を含むプラスチック材料は、有極性溶剤に溶けやすい
- (4)
- プラスチック材料には添加剤、潤滑剤、強化剤、バインダー等の化学成分や充填材が混合されている場合も多いので、これらの影響によっても化学的性質は変動するし、同じ樹脂名であっても製造メーカーが異なると性質も異なってくる場合がある
射出成形では、プラスチック材料の化学的性質を深く考える場合はあまりなさそうですが、実際の成形品になった場合にはその用途によっては化学的性質が大変重要になってくる場合があります。金型設計の周辺知識としてプラスチック材料の化学的性質についても時間があるときに触れておくことは有益なことです。