樹脂の射出成形加工では溶融させた樹脂の流動性の善し悪しによって成形条件、特に射出圧力や射出速度、金型温度の設定が大きく左右されることは皆さんも良く体験していることかと思います。
樹脂の流動性を評価する方法にはいくつかの方法がありますが、最も簡易的で目安として利用されているものがメルトフローレート(Melt Flow Rate, MFR)です。
メルトフローレートは、樹脂の試験材料(ペレット)をメルトフローインデクサーという試験装置へ装てんし、加熱して規定の重量で溶けた樹脂を流出させてその流れ出た樹脂量を計測して指標とします。試験方法はJIS,ISOで規定されています。
メルトフローレートの数値が大きい樹脂ほど流動性が良いと評価されます。メルトフローレートが小さい樹脂は流れが悪いです。
ただし、メルトフローレートは、静的な状態での流動性を評価するため、実際の射出成形の場合は極めて短時間で狭いゲートを流動しますのでメルトフローレートの値はそのまま射出成形の場合にぴったりと適合する訳ではありませんのでこの点は理解をしておく必要があります。
以上のように、メルトフローレートは樹脂の流動性の指標として簡易的に特性を把握するには、簡便で目安となる指標であるということが理解できたかと思います。
メルトフローレートは、ペレットの乾燥状態(吸水量)や樹脂への添加物(ガラス繊維、カーボン繊維等)の添加量によっても大きく変動します。また、測定者の技量によってもばらつきがで安い試験なので、可能な限り、同一の測定者が計測をしたほうが良いです。
メルトフローレートと実際の金型内での樹脂の流動状況は、必ずしも一致するとは言えませんが、数値の小さな樹脂は、一般的に金型内でも流動は良くありません。
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